COLUMN

コラム

王先生から知る 東洋医学の基礎知識

季節に応じた薬膳療法

はじめに読むコラム

 

こちらの記事は東洋医学の「基礎」となるコラムです、より理解していただくために、まず、はじめにご覧ください。

 

 1⃣ 現代人に必要な東洋医学の知識

 2⃣ 現代医学・伝統医学・西洋医学・東洋医学「言葉の定義」

 3⃣ 日本における漢方の普及と発展

 4⃣ 中国伝統医学、中医学及び現代中医学の定義と構造

 5⃣ 中医学の特徴

 6⃣ 中医学診療の考え方

 7⃣ 代替医療・統合医療とは何のこと?

 

 

「夏にゴーヤ、冬至にカボチャを食べる」など、昔から季節に応じて、食材を調理し、食することで五臓六腑を調節する習慣があります。四季の変化を捉え、補養すべき五臓を養うのが薬膳の基本となります。

 

 

人体の陰陽や五臓は五季により変化する

 

 

中医学では天人合一思想に基づき、自然界の陰陽の変化に従って身体の陰陽も変化していくと考えられています。そのため、季節ごとに適した食材も変化します。

1年は通常、春・夏・秋・冬の四季に分けられますが、中医学では五行理論に基づき長夏*を加えた五季に分けています。五季は立春~立夏が春、立夏~大暑が夏、大暑~白露が長夏、白露~立冬が秋、立冬~立春が冬となり、さらに二十四節気(旧暦における四季の気候変化の分類)に分けられます。

陰陽のバランスや五臓の働きも五季に合わせて変化します。陰陽のバランスは晩春から長夏は陽が強く、秋から早春までは陰が強くなります。

また、五臓の働きは春は肝、夏は心、長夏は脾、秋は肺、冬は腎が活発となります。

季節により、不足した陰陽を補い、活発になる五臓を保養することがポイントです。

 

 

食養生法は五季に合わせることが肝要

 

五臓は五季と関連しており、春は肝の機能が、夏は心、長夏は脾、秋は肺、冬は腎が活性化します。五季の変化は、五臓に直接的な影響を与え、間接的に各器官の作用に変化をもたらします。

春は陽気が強まり、精神が高揚気味になります。また春先は風が強く、外邪が身体に入りやすいため、肝を補養し、気の流れを促進、興奮を静め、外邪を防ぐための食材選びが重要となります。

夏は1年で最も暑く、雨も多いことから、万物の生長が見られます。その変化に呼応し、身体の陽気も旺盛になります。拍動や発汗量が増え、心の機能も活発化するため、寒涼性で酸味・苦味の食材で心を養うようにします。

長夏は長雨により、内湿が溜まることから、脾を損ないやすいので、湿を排出させ、脾の気を巡らせる必要があります。このためには温性、甘味の食材で益気健脾を促すことが肝要です。

初秋は残暑と乾燥の影響により、津液不足となるため、涼性で甘味・苦味の食材で滋潤させます。晩秋には温性で辛味・酸味で温肺滋陰作用の食材を用い、肺を補養するとよいでしょう。

冬は腎の機能が盛んになります。涼・平性および甘·酸·鹹(かん)味(塩辛い味)の食材は腎陰を補い、腎を補養する作用を持ちます。

 

用語解説

「長夏」…旧暦の6月。約小暑、大暑、立秋、処暑の4つの節気を指します。雨が多く暑いため、植物が成長著しい時期でもあります。ただし、これは黄河流域を指します。

 

 

参考文献:

  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

 

 

 

王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。

1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中西医結合科中医師(中医総合科医師)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学)      
1999年~御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

学術関係および兼職

2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2005年~ アメリカ自然医学学会 自然医学療法医師
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2017年~ 世界中医薬学会聯合会理事会 理事
2017年~ 世界自然医学会聯合総会 常務理事
2019年~ 中国河北医科大学中医学院 客員教授
2022年~ 世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長

© Holistic Health Lab All rights reserved.