漢方のお話をするにあたり、まずは言葉の定義を整理してみました。最初に、現代医学・伝統医学・西洋医学・東洋医学について、です。
現代医学
今日、身近にある医院や病院で行われている医療およびその理論のことを指します。 長い歴史があり、古代ギリシャのヒポクラテスにまでさかのぼります。
西洋医学
明治初期から、欧米において発展した医学を指す用語として用いられました。正式な医学用語ではなく、俗語であり、文脈によって意味が異なります。
一般的に日本では「西洋医学」は「現代医学」を指す言葉であり、西洋の各地にある伝統的な医学は「西洋医学」には含まれていません。
伝統医学
現代医学とは異なる理論に基づく治療法で、世界各地に数多く存在します。一般的には三大伝統医学とそこから派生した各地の独自の医学を指します。
三大伝統医学の種類
・中国医学(中医学)
・アーユルヴェーダ(伝統インド医学)
・ユナニ医学(ギリシャ医学)
西洋の伝統医学の種類
・メディカルハーブ
・アロマセラピー
・カラーセラピー
・フラワーエッセンス
・ホメオパシー など。
現代医学の発祥の地が西洋であったことから、日本では「西洋医学=現代医学」という図式となり、「西洋医学」と対比される言葉として東洋医学が使われるようになりました。その結果「西洋医学」と「東洋医学」という分類がなされています。
東洋医学
イメージとしては中国から伝わったものを感じさせますが、東洋=中国ではないため、中国の伝統医学のみを東洋医学というわけではありません。
「東洋医学」の意味が「東洋の伝統医学」として使われるのであれば、アジア地域全域における伝統医学を指す言葉であってしかるべきです。
東洋の伝統医学の種類
中国の伝統医学のほか、インドのアーユルベーダ医学やアラビアのユナニ医学、チベット医学など様々なものがあり、世界的には「オリエンタルメディスン(東洋医学)」という場合はこれらの伝統医学も全て含まれます。
しかし、実際には日本で「東洋医学」という言葉は、「中国由来の伝統医学」のみを指す言葉として使われています。
なお、ほとんどの日本人が東洋医学ときけば中国の伝統医学と思ってしまうことと似たような事例として、中国では「東洋」といえば「日本」を指す言葉として使われています。
参考文献
・長尾和治編.看護のための最新医学講座 第33巻 Alternative Medicine.中山書店,2002
・渥美和彦.統合医療-基礎と臨床-.東京:日本統合医療学会,2007