代替医療(alternative medicine)
自然科学に基づく現代西洋医学による医療以外の医療をいうものです。
補完医療(complementary medicine)は代替医療の一つの役割であり、伝統医療(traditional medicine)は代替医療の大きな分野の一つです。
代替医療の種類
その広域の定義である「現代医学が用いる療法以外のあらゆる療法の総称」を採用するならば、その種類は膨大な数にのぼり、アメリカ合衆国の国立衛生研究所が1993年から実施した初期調査によれば、自国における代替医療の種類は600余りに達しています。
日本の医学体系の現状は西洋医学(現代医学)のみに限定しており、西洋医学以外の治療体系、すなわち数多くの代替療法が入り込む余地はほとんど残されていません。かろうじて鍼灸、指圧、按摩、マッサージ、柔道整骨、および一部の「療術」だけは例外的に法体系に取り込まれていますが、「医療類似行為」として限定的に認知されているに過ぎません。
本来、医療は患者の「治りたい」という願望や努力を医療者が援助する行為です。このような意味から、目的を共有する両者が世界の潮流に乗って、代替医療を学ぶ意義は大きいといえます。
統合医療(integrative medicine)
現代西洋医学だけではなく、漢方や鍼灸などの東洋医学、民間療法なども取り入れ、西洋医学、東洋医学、自然医学及び民間療法などを互いに補完し、それぞれの長所を生かし、患者に最適な治療法を提供する医療を指します。
このように統合医療は様々な医学や医療を統合し、それぞれの立場を尊重し、相互の特徴を生かすなど患者中心の医療を推進するもので、クライアントの疾病予防に努めるとともに「全人的医療」(holistic medicine)を達成する新しい「第三の医療」(new world medicine)へと進み、健康増進に寄与しようとするものです。
すなわち、統合医療は、
1. 患者さん中心の医療 |
2. 身体、精神のみならず、人間を包括的に診る全人的な医療 |
3. 治療だけでなく、疾病の予防や健康増進に寄与する医学 |
4. 生まれてから亡くなるまで、人の一生をケアする包括的な医療 |
を目指すものであり、多くの境界領域の連携と協力を必要とするものです。
統合医療の療法の種類
日本においては近年の統合医療研究論文によると
「漢方」「はり・きゅう」「気功」「ヨガ」「各種マッサージ」「骨つぎ・接骨」「整体」「カイロプラクティック」「食事療法」「断食療法」「サプリメント・健康食品:ハーブ療法を含む」「アロマテラピー」「温熱療法」「磁気療法」「温泉療法」「音楽療法」「森林セラピー」「ホメオパシー」「アーユルベーダ」の19療法で、
別途自由記載の「その他」が設定されています。
参考文献
- 長尾和治編.看護のための最新医学講座 第33巻 Alternative Medicine.中山書店,2002
- 渥美和彦.統合医療-基礎と臨床-.東京:日本統合医療学会,2007
- 石橋由基・堀口逸子・川南公代・他.日本の統合医療の利用状況.第63巻第13号「厚生の指標」2016年11月