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東洋医学療法の紹介コラム㊷ 気功療法⑲ 気功法の五の一

 

太極拳(たいきょくけん)とは

 

太極拳が中国で行われるようになって、少なくとも三百五十年以上の歳月が経っています。太極拳は古来から武術や格闘技として、また、健康法としても広く国民に親しまれ、それぞれの役割を果たしてきました。

太極拳は、民間に伝えられてきた様々な拳法を踏まえて、実を避け、虚を衝き、「相手が動かざれば己れも動かず、相手が微動すれば、その先を行く」という方法で、相手の出方によって、あとから動いて先に至る「後の先」を基本としています。

具体的には、まず、相手の力を削ぎ、相手をいなした後に攻撃をかけ、小さな力で大きな力に打ち勝つという戦術に基づき、静を以て動を制し、柔を以て剛を克ち、回転する円い動きを以て、直接的な攻撃に打ち勝つという当時としては全く新しい拳法だったのです。

したがって、一般によく見られる我武者羅(がむしゃら)に攻めて、素早く打つ拳術とは全く異なる物です。「太極」とは「最高の、すばらしいもの」という意味であり、陰陽の変転とバランスとを含みこんだ物と言うことでもあるのです。この場合は流れるような動作の中での変化を指しています。

また、陰陽以前の対立のない混沌と言う意味にも解釈され、この場合には「太極拳は勝利を目指さず、対立自体の解消を目指す武術」であることが強調されます。

さらに「太極とは即ち‘気’である」とも言われ、力ではなく気の武術であるため、「僅かの力で数百キロの力を撥ね返すことができる」とされています。体内の気の流れを経絡といいますが、中国の伝統的医学の経絡学説に基礎を置いて体の自己認識を構築している武術を「内家拳」といい、太極拳はその代表的な武術の一つです。

 

 

健康法としての太極拳は、中国古代の「吐納」(気功)、「導引」などと結びつき、気持ちを落ち着かせ、身体をリラックスさせ、意と気によって動作を導くことが原則とされており、そうしたことから、拳術と健康法としての術がなお一層の結びつきを持ったのです。

吐納術:古いものを吐き出して、新しいものを吸い込む。つまり腹式深呼吸運動。

拳 術:腰を中心にして、手と足のバランスを取り、そして着眼を配する。

つまり四肢の運動(=武術)。

導引術:腰を中心に体を曲げたり、伸ばしたりすることによる“気”は体内の経絡にそって流れる運動(=気功)

以上これら古くから伝わっている三種類の術をまとめ、更に新しい工夫を入れて完成されたもので病気の治療、健康の保持、体力を増進させる武術体育運動です。

意識、呼吸、動作の三者を結合して、意、気、体を鍛錬します。一旦動き出すと全身動かない所がなく、静まりかけると全身が静まり、リラックスさせます。

太極拳は中国の伝統的医学の理論に基礎を置いて養生学の立場から武術と気功を結び付けたものです。武術の練習法がそのまま養生功となり、健身法ともなるという特徴を持っているもので何世紀にも亘る実践で重要な健身と疾病の予防手段であることが証明されています。これらに加えて、高血圧、潰瘍病、心臓病、肺結核など、いろいろな病気の補助治療方法でもあります。人の神経系統、心血管系統、呼吸器系統、消化器系統及び骨格、筋肉、関節の活動、体内の物質代謝、老化の予防、ストレスの解消等に対して確かな効果をもたらします。

太極拳は今日では中国の国民的健身法と言える地位を築いています。国際的にも大きく広まり、欧米では健身法として注目されており、日本でもヨガと並ぶ健身法として広まっています。

 

参考文献:

  • 林茂美・林誠著.らくらく気功健康法―だれにでも手軽にできて効果抜群.永岡書店,1990
  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019
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