HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医師監修

瞑想に目的意識はNG?

 
Q. 集中力を高めたいと思い、最近インターネットを見ながら瞑想を始めました。しかし「目的意識を手放しましょう」というガイドによく出会い、混乱してしまいます。集中力を高めたいという目的をもって瞑想を行うのはよくないことなのでしょうか?
 
A. 目的意識があることは問題ありませんが、それとの付き合い方が大切です。以下に詳しく説明しますね!
 
 
 

瞑想の目的はあってよい

 
 
誰しも瞑想を始める前には何らかの目的があったはずですよね。例えば、「集中力を高めたい」「つらい考えに捉われないようになりたい」など。これは自然なことですので、瞑想の目的を否定する必要は全くありません。自分を瞑想に導いたきっかけとして尊重してよいと思います。
では、ご質問にあった「目的意識を手放しましょう」という説明にはどういった意味があるのでしょうか。
これは、「あまりに目的意識が強すぎると、瞑想の妨げになることがありますよ」ということなのです。実際にどのように妨げになるのか、次の段落から説明していきますね!
 
 
 

目的意識が強すぎると①

 
 
目的意識が強いと、瞑想継続のためのモチベーション維持が難しくなってしまうということがあります。
例えば「昨日の瞑想では集中できたけど、今日の瞑想では全然ダメだった」という風に、目先の結果にとらわれて一喜一憂しやすくなってしまうのです。そのうち、「続けていて意味があるんだろうか」「この方法であっているんだろうか」と疑念が湧いてきて、続けられなくなってしまうケースが多いです。
瞑想というものは右肩上がりに成果が得られるようなものではなく、日々の変動はありながらも、長期をかけて少しずつ恩恵が現れてくるものです。そのため、成果を感じられない日があったとしても「まあそんなもんだよね」とゆったり構えて気長に続けていくスタンスが重要です。
 
 
 

目的意識が強すぎると②

 
さらに、目的意識が強すぎると心が「ドゥーイング・モード」になってしまうということがあります。
「ドゥーイング・モード」は別名「問題解決モード」とも呼ばれます。理想の状態と現状とのギャップを分析し、理想の状態に近づくための方法を発見・実行するモードです。これは実生活のさまざまな問題を解決するのに役立つモードですが、エネルギー消費の多いモードでもあります。そのため、うまく解決できない問題があるときにドゥーイング・モードだけで立ち向かっていると、心が疲弊してしまうのです。
一方、瞑想で練習しようとしているのは「ビーイング・モード」。感覚や心の状態をただ感じ取っているモードです。このモードはエネルギーの消費が少なく心を休ませることができるため、ドゥーイング・モードで解決できない問題に対し、新たな視点を向けることができるようになります。
瞑想中に目的意識が強すぎると、「ビーイング・モード」を練習しているはずなのにいつの間にか「ドゥーイング・モード」になっているというチグハグな状況が生まれてしまいます。
「絶対に達成してやるぞ」ではなく、「しばらく続けて結果がどうなるか見てみよう」、と肩の力を抜いて行うのが、結果として最も継続しやすく、また大きな恩恵も得られやすいのです。
 
 

まとめ

 
 
いかがだったでしょうか。今日は「瞑想に目的意識はNG?」というテーマでお話ししました。HHLABでは他にもマインドフルネスや瞑想について解説した記事をたくさん執筆していますので、ぜひ今後もチェックしてくださいね。
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

© Holistic Health Lab All rights reserved.