COLUMN

コラム

ミール(食事)

体質に応じた薬膳療法 【8種類の体質の特徴】

はじめに読むコラム

 

こちらの記事は東洋医学の「基礎」となるコラムです、より理解していただくために、まず、はじめにご覧ください。

 

 1⃣ 現代人に必要な東洋医学の知識

 2⃣ 現代医学・伝統医学・西洋医学・東洋医学「言葉の定義」

 3⃣ 日本における漢方の普及と発展

 4⃣ 中国伝統医学、中医学及び現代中医学の定義と構造

 5⃣ 中医学の特徴

 6⃣ 中医学診療の考え方

 7⃣ 代替医療・統合医療とは何のこと?

 

 

薬膳を作る際には、個々人それぞれの体質を理解した上で環境や体力などの個人差を加味した運用をすることが重要です。

中医学では不健康な体質を8種類に分類し、その体質に合わせた長期的な食養により、症状の改善を図る療法が行われています。

 

 

基本的体質を食養により、変えることが可能です

 

基本的体質は、先天の精として両親から受け継ぐ、生来のものであり、変えられないと考えられていますが、成長過程の食事や環境により、体質を改善することは可能です。

体質に大きく影響を与えるものは住環境とそれに伴う食生活です。たとえば、北方の砂漠地帯に住む人々は、乳製品や肉類を食すため、身体が丈夫で陽盛体質が多い傾向にあります。また女性は月経、出産など常に血液不足の状態になりがちで血虚、気虚が多いとされます。

中医学では陰陽、気血、津液の盛衰によって個々人の体質を見分けることが多く、気血などに虚(不足)がある陰虚、陽虚、血虚、気虚、滞りがある気滞(気鬱)、血瘀、痰湿、これに気血などが過剩な陽盛という8種類のタイプの体質に分類します。

 

 

8種類の体質の特徴

 

 <気虚体質> 

 気の不足により臟腑機能が低下したタイプです。肥満気味、むくみがあります。疲れやすく、息切れ、多汗、身体のだるさなどの症状が見られます。

 

 <気滞体質> 

 気の巡りが滞っているタイプです。太り気味で顔色が暗いです。症状は、イライラや精神の抑うつ、食欲不振、PMS(月経前症候群)などがあります。

 

 <陽虚体質> 

 陽気不足で全身が冷え、脾や腎の機能が衰えます。顔色は白く、むくみがちです。症状は冷え、下痢、温めると生理が楽になるなどの症状があります。

 

 <血虚体質> 

 血量、または血の機能が不足しています。顔色は蒼白か黄色です。手足のひきつり、しびれ、不眠やめまい、便秘、経血量が少ないなどの症状があります。

 

 <血瘀体質> 

 血が滞って色が黒く、塊のようになった状態です。顔色は暗く、目の下にクマができます。疼痛があり、肌が乾燥気味で、大便が黒い、舌が紫暗です。

 

 <痰湿体質> 

 津液の流れや代謝に異常があり痰湿がたまっています。肥満でむくみがあり、顔色は黄色いです。痰や疲労、眠さ、身体のだるさなどの症状があります。

 

 <陰虚(内燥)体質> 

 津液や陰血が不足しているタイプです。痩せている人に多いです。のどの渇きや空咳、不眠、ほてり、便は乾燥しているなどの症状があります。

 

 <陽盛体質> 

 身体が強く、臟腑機能が高ぶる体質です。赤ら顔で、声が高く、呼吸が荒いです。のどの渇き、多汗、食欲旺盛などの症状があります。

 

 

 

 

同じ症状でも体質によって適した食材が異なります

 

食材選びには、季節と体質のバランスを考慮することが重要となります。人には暑がり(熱性)、寒がり(寒性)など、体質の違いがあり、単純に夏は身体を冷やす寒涼性の食品、冬は温める温熱性というように食材を選ぶことは、症状の悪化にもつながりかねません。普段から身体が冷えがちという陽虚体質の人は、1年を通じて、寒涼性の食材を避けるといった調整が必要です。

また同じ症状でも、体質により適した食材は異なる場合があります。たとえば冷え性の場合、陽気不足による陽虚体質の人と、気の滞りにより手足が冷える気滞体質の人では適した食材や生薬が異なります。陽虚は甘味や熱性の食材で脾や腎を補養し、気滞は辛味や温性の食材で肝を補養することが重要となります。

正しい効果を得て、症状を改善するためには自分自身の体質の理解が必須です。

 

参考文献:

  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 辰巳洋著.実用中医薬膳学.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

 

 

王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学)      
1999年~御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

学術関係および兼職

2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2005年~ アメリカ自然医学学会 自然医学療法医師
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2017年~ 世界自然医学会聯合総会理事会 理事
2017年~ 世界中医薬学会聯合会理事会 理事
2020年~ 中国河北医科大学中医学院 客員教授
2022年~ 世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
2022年~ 世界中医薬学会聯合会治未病専門委員会 常務理事


© Holistic Health Lab All rights reserved.