はじめに読むコラム
こちらの記事は東洋医学の「基礎」となるコラムです、より理解していただくために、まず、はじめにご覧ください。
経穴(ツボ)とは
経絡には、気が身体の内外を出入りする経穴(ツボ)があり、鍼灸治療はこの経穴を使って行われます。経穴を刺激すると、刺激が経絡に伝達します。経絡を流れる気、血、津液が動くことで、臓腑も活性化します。
このため、経穴を深く理解しているかどうかによって、治療効果が左右されることになります。
経穴(ツボ)の認識とその作用
経穴とは俗にいうツボの1種で、体内における気や血の通り道である経絡と体表部の接点です。ツボには経穴、奇穴、新穴があり、経穴は人体に361個あります。
経絡は太くなったり細くなったり、膨らんだりへこんだりしながら体内を走っていますが、その最も太い部分や細い部分、膨らんだ部分やへこんだ部分は体表部から触ると確認できます。経絡の要所にあるツボが古くから経穴として認識されています。
経絡は臓腑とつながっているため、経穴は臓腑と体表面とを結ぶ点だといえます。そして同時に、臓腑から外界に通じる出入り口でもあります。そのため経穴は邪気の侵入口にもなってしまいます。正気の勢いが弱まり、邪気の勢いが勝ると、邪気が経穴より体内へと侵入し、経絡を通じて臓腑に悪影響を与え、気や血の巡りが変調をきたします。その変調は経絡を通して経穴にも伝わり、「ザラつきや赤み」、「熱や冷え」、「しこりや痛み」といった形で現れます。そのため、経穴の状態を確認することにより、臓腑の病状を把握することができます。また、経絡は正気の通り道であるため、経穴を刺激することでその正気の勢いを強めることができ、免疫力を高めて邪気の勢いを抑えることもできます。
経穴は気の出入り口でもあり、気や血が集まる場所でもあります。鍼灸が病気を治療、予防する効果をもつのは、経絡内で気や血、津液の流れが滞ったときに経穴を刺激すると、その刺激が経絡に伝わり流れを改善するからです。
病気にかかると気や血、津液の不調や、臓腑の陰陽の偏盛・偏衰が起こり、虚実の証があらわれますが、鍼灸は経穴に適切な刺激を与えることで、臓腑の虚実を調整できます。
つまり経穴(ツボ)とは、体内のさまざまな問題が表出する部位ですので、診察の指標となる病気の反応点であるのと同時に、治療効果が上がりやすい部位(治療点)ともなるわけです。
世界統一基準も定められたグローバルな治療法
現在、経穴(ツボ)を鍼や灸で刺激する鍼灸治療は、東洋医学の範疇にとどまらず、世界各地で行われているグローバルな治療法です。しかしかつては、経穴の位置に対する見解が各国で異なるという問題がありました。そのため、2008年にWHO(世界保健機構) で、361の経穴に関する世界統一基準が定められました。
近年では神経系疾患をはじめ、運動器系や循環器系など、数多くの疾患で鍼灸治療の有効性が認められています。
参考文献:
- 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
- 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
- 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
- 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019