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コラム

漢方

現代社会における東洋医学の評価

はじめに読むコラム

 

こちらの記事は東洋医学の「基礎」となるコラムです、より理解していただくために、まず、はじめにご覧ください。

 

 1⃣ 現代人に必要な東洋医学の知識

 2⃣ 現代医学・伝統医学・西洋医学・東洋医学「言葉の定義」

 3⃣ 日本における漢方の普及と発展

 4⃣ 中国伝統医学、中医学及び現代中医学の定義と構造

 5⃣ 中医学の特徴

 6⃣ 中医学診療の考え方

 7⃣ 代替医療・統合医療とは何のこと?

 

 

東洋医学は西洋医学と異なる角度から人体を見つめる

 

西洋医学が絶対的なものでないことは皆さんもご承知かと思いますが、西洋医学の治療で行き詰まった場合には、別の角度からの打開策を考える、すなわち、発想の転換が求められます。

西洋医学と同様に東洋医学も体系化されていますが、西洋医学とは異なる角度から人体を診ることで、発想の転換がなされることになります。

しかし、一般的に漢方薬や針灸といえば、その根底にある医学体系のことを忘れて、技術面にばかり目が向いてしまうことがあります。

このような場合、どんなに漢方薬や針灸を用いても、西洋医学的な病症の把握に基づいて治療するのであれば、発想の転換にはなりませんし、漢方薬や針灸が本来もっている効果を充分に発揮することもできません。

そこで、これらの治療技術を活かしていくためには、東洋医学の医学体系をしっかりと理解することが必要です。

 

「現代病」にすぐれた効果を発揮する場合が多い

 

 

 

現代の病気は治療で簡単に治る病気が少なく、慢性化と多種の病気が混在している難治性の病気が増えてきています。そして最も治療が難しい原因は高齢化によるもので、人体の免疫力と薬に対する受耐力が低下したことによるものです。この場合、単純な薬は効きませんし、薬によっては身体を壊す場合もあることをご存じの方も多いのではないでしょうか。

なお、現代病の中には、成人の「生活習慣病」(癌、心疾患、脳血管疾患)に加え、小児期の「生活習慣疾病」もあります。これらに対する「治療医学」は「予防医学」と結びつけることが必須となっています。

このような状況から、病気の原因を直接的に取り除こうとするパワーの西洋医学に対する慎重論から、自然・全人的・癒し・予防などへの要求の高まりから、副作用の少ない、全人的・統合的な考え方による自然医学・伝統医学・東洋医学が注目されるようになってきました。

東洋医学は全人的に患者さんを診て、全体的総合的に病気を捉え、「治すこと・癒すこと」を最大の目的として、一人ひとりの体質と病気の状態を見極めます。その上で、副作用の少ない、全人的に最適な漢方薬や治療法などを用いることで、慢性的、全身的な病気の治療など複雑・多岐にわたる症状に対して効果を発揮します。

なお、東洋医学の得意分野は病気が始まる前の体調の乱れを整え、病気の発症を予防すること、すなわち“治未病”にあるため、 現代病こそ東洋医学の出番であるといえるでしょう。

このような東洋医学の効果は科学的な研究により、西洋医学からも認められてきています。

以上のことから、数百年前には急性病や流行性の病気に対する西洋医薬の即効性効果により、西洋医学が世界にあるすべての伝統医学や民間療法をしのぐと評価された理由と同じように、日の現代社会において、東洋医学への信頼が高まり、再評価されているのは、ある意味では時代の潮流であり、要求でもあるといえます。

 

*注釈:ここで「東洋医学」という言葉は、「中国由来の伝統医学」のみを指し、「漢方医学」と近い意味を表します。「西洋医学」は、現在病院に行われている現代医学のことを指します。

 

 

 

参考文献

  • 関口善太著.やさしい中医学入門.東洋学術出版社,1993
  • 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014

 

 

王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒、総合病院中西医結合科中医師として勤務                       
2002年 熊本大学医学部医学研究科修士博士連合課程卒、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻、医学博士取得
2019年 南京中医薬大学大学院博士課程卒、中医学臨床基礎・経方を専攻、医学博士取得       
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医学医師・研究員・講師として勤務

学術関係および兼職

2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2005年~ アメリカ自然医学学会 米国自然医学療法医師
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2016年~ 世界中医薬学会聯合会 治未病専業委員会理事
2017年~ 世界中医薬学会聯合会理事会 理事
2017年~ 世界自然医学会聯合総会 常務理事
2019年~ 中国河北医科大学中医学院 客員教授

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