HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

マインドフルネスの心構え④信頼して

 
 
現在お送りしている記事シリーズでは、マインドフルネスの実践を続けていくにあたって大切な「7つの心構え」について説明しています。
この「7つの心構え」はマインドフルネスストレス低減法(MBSR)というプログラムの中で紹介されるものですが、このMBSRに限らずマインドフルネスの実践に取り組まれている方皆さんに参考になることだと思い、紹介させて頂きます。
 
4回目の今日は「信頼して」という心構えについて説明していきます!
英語では「Trust」ですが、ここでは「信頼して」と訳させて頂きます。
 
 
1回目記事はこちらマインドフルネスの心構え①評価をわきにおいて
 
2回目記事はこちらマインドフルネスの心構え②粘り強く
 
3回目記事はこちらマインドフルネスの心構え③追い求めない
 
 
 
 

自分自身を信頼する

 
「信頼して」ということですが、何を信頼してと言っているのでしょうか?実はこれは「自分自身を信頼して」ということなのです。
マインドフルネスで大切なのは、自分の選択の基準を外に求めるのではなく、内側に求める練習をすることです。
 
このことは、マインドフル・ヨガのガイドを聴いて頂ければわかりやすいかもしれません。 (記事:立位のマインドフルヨーガ)
 
 
 
 
マインドフル・ヨガでは、講師のやっている通りにポーズをとることや、綺麗なポーズをとることを目的にしているわけではありません。
むしろ最大の目的は、自分自身の身体の感覚に耳を傾け、無理をしないように練習することなのです。
 
ですので、例えば腕を上げるポーズをする際に途中で肩が痛くなる場合には、そこで動きを止めて、限界の内側にとどまるようにします。
もしポーズ自体をとることが難しい場合には、そのポーズをとっているところをイメージするだけでも大丈夫です。
 
マインドフルネスの練習では、このように自分自身の内側からのメッセージを受けとめ、それに合わせて行動を選択するということが非常に大切です。
 
もう一つ例を挙げてみましょう。
瞑想をしているときに脚がしびれてくることはないでしょうか。
その際に周りの人が涼しげな顔をして瞑想をしていると、なんだか自分ももう少しこのままの姿勢で頑張らなければいけないんじゃないか、という気持ちになるかもしれません。
しかし、ここでも大切なことは、自分の感覚を尊重して、必要とあらば限界を超える前に脚を崩すことなのです。
 
これでは楽をしてしまっているんじゃないか、という思いが浮かんでくるかもしれませんが、そんなことはありません。
脚がしびれていれば脚を崩すということ自体が、自分自身を信頼する練習なのです。
 
 

外に基準を求めることに慣れすぎている

 
 
しかしどうして、このような練習をする必要があるのでしょうか?
それは、自分自身を信頼するということが意外と難しいからに他なりません。
 
私たちは社会生活を送る上で、周りに合わせるということには非常に慣れています。
時間通りに集合するとか、列を乱さずに並ぶとか、基準を満たした書類を作って役所に提出するとか…
このように皆が外的な基準に合わせているからこそ、社会が効率的に回っているということもできます。
 
しかし外的な基準に合わせることに慣れすぎてしまうと、弊害が起こることがあります。
自分の心や身体からのメッセージに気づかなくなり、あるいは気づいても蓋をするようになってしまい、健康を害してしまうことがあるのです。
 
一例を挙げると、過労によるうつ状態があります。
日々こなさなければならない仕事に自分を合わせ、無理を重ねた結果、心身が疲弊し仕事を継続できなくなってしまうこともあります。
 
この例からもわかるように、休息が必要なときにそれに気づいて休息をとる、ということは決して簡単なことではないのです。
だからこそ、自分の心や身体の状態に気づき、それを信頼する練習が必要となるのです。
 
 

そうは言っても…

 
 
「休息が必要なときに休息をとる。それが大切なのはわかるが、そうは言っても…」という声が聞こえてきそうです。
 
気持ちはよく分かります。いくら体調が悪いからといって、仕事や家事を中断できない状況ってありますよね。
生活を維持するためには、多少無理をしないといけないタイミングがあるはずです。
 
マインドフルネスは、無理をすることを完全に否定しているわけではありません。
大切なのは、無理をする際には、無理をしていることに気づくことです。
気づいてさえいれば、別のタイミングでセルフケアをしたり、環境を調整したりという選択肢が生まれます。
無理をしていることに気づかずに無理をしている状態こそが、最も健康障害に結びつきやすいのです。
 
普段から瞑想やマインドフルヨガといったマインドフルネスの練習を通じて「自分を信頼する」練習をしていきましょう。
大変な時期にきっと助けになるはずです。本サイトではマインドフルネスのさまざまな実践法を紹介していますので、ぜひご活用ください!
 

まとめ

 
いかがだったでしょうか。今回は「信頼して」という心構えを紹介しました。
次回以降もマインドフルネスの実践に役立つ心構えを紹介していきますので、ぜひチェックをお願いします!
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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