HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

マインドフルネスの心構え⑤受けいれて

 
 
現在お送りしている記事シリーズでは、マインドフルネスの実践を続けていくにあたって大切な「7つの心構え」について説明しています。
この「7つの心構え」はマインドフルネスストレス低減法(MBSR)というプログラムの中で紹介されるものですが、このMBSRに限らずマインドフルネスの実践に取り組まれている方皆さんに参考になることだと思い、紹介させて頂きます。
 
5回目の今日は「受けいれて」という心構えについて説明していきます!
英語では「Acceptance」ですが、ここでは「受け容れて」と訳させて頂きます。
 
 
1回目記事はこちらマインドフルネスの心構え①評価をわきにおいて
 
2回目記事はこちらマインドフルネスの心構え②粘り強く
 
3回目記事はこちらマインドフルネスの心構え③追い求めない
 
 
 

受けいれて

 

ここでいう「受けいれる」とは、別の言葉では「物事のあるがままの状態を認める」とも言えます。

 
例えば、私たちは何か予想外の失敗をしてしまうことがあります。そんなとき、すぐにはその状況が受け入れられず、現実逃避をしたり、自分を必要以上に攻めてしまったり、あるいは他の人のせいにしようとしたりと、心はさまざまに動きます。
 
しかし、失敗をそのままにしておくと、必要な対応をすぐに取れず、状況が悪化することもありますよね。
そんなときに大切なのが、この「受けいれる」力なのです。起こったことは起こったこととして、あるがまま受けいれる。
それができてこそ、初めて中立的な視点で対応ができるのですね。
 
 

マインドフルに対応する

 
 
みなさんは、失敗を誰かに報告したときに、怒られると思ったら、思いのほか冷静に親身に対応してくれて拍子抜けした、という経験はないでしょうか?あるがままを捉えることができれば、感情的になったりせずに、最善の選択をすることができます。
 
ここで一つの逸話をご紹介しましょう。
ジャズピアニストのハービー・ハンコックがまだ若い頃、ジャズトランペットの帝王と呼ばれるマイルス・デイヴィスのバンドに参加していたときの話です。
ハービーはあるライブで、誰が聴いてもすぐにミスと分かるほどの和音の弾き間違いをしてしまい、「バンド全体の演奏が止まってしまうのではないか」と顔を覆いたくなったそうです。
 
しかし次の瞬間、マイルスはその和音を絶妙に生かしたトランペット・ソロを続けたのだそう。
もしマイルスが「この和音はミスだ!」と決めつけて演奏を中断していたら、このようなソロは生まれなかったのではないでしょうか。
今鳴った和音をありのままに「受けいれる」ことができたからこそ、創造的な対応ができたのですね!
 
 

瞑想で「受けいれる」練習をする

 
実は、この「受けいれる」態度は、瞑想を通じて練習することができるのです。
 
瞑想中にも大変なことはたくさん起こります。
脚がしびれたり、腰が痛くなったり、ソワソワして座っていられなくなったり…
 
「自分は瞑想に向いてないのかも…」
「また瞑想を中断してしまった…」
 
そんな思いがよぎるかもしれませんが、このような困難な体験をしたときこそ、「受けいれる」練習をする絶好の機会です。
 
たとえば、脚がしびれたとき…
 
「脚のしびれ」という感覚だけではなく、「自分は瞑想に向いてないかもしれない」とか、「瞑想を長い時間して本当に意味があるんだろうか」などといった判断や疑いが湧いて来ることがありますね。
それはそれで心の性質なので悪いこととは言えないのですが、一旦そういった判断や疑いをわきに置いて、脚がしびれたときのその感覚をそのままに受けいれる練習をしてみようということです。その練習がきっと、日常生活にも活きてきますよ!
 

まとめ

 
いかがだったでしょうか。今回は「受け入れて」という心構えを紹介しました。
次回以降もマインドフルネスの実践に役立つ心構えを紹介していきますので、ぜひチェックをお願いします!
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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