HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

マインドフルネスの心構え①評価をわきにおいて

 
 
 
今回からの記事シリーズでは、マインドフルネスの実践を続けていくにあたって大切な「7つの心構え」について説明していきます。
この「7つの心構え」はマインドフルネスストレス低減法(MBSR)というプログラムの中で紹介されるものですが、このMBSRに限らずマインドフルネスの実践に取り組まれている方皆さんに参考になることだと思い、紹介させて頂きます。
 
1回目の今日は「評価をわきにおいて」という心構えについて説明していきます!
英語では「Non-judging」ですが、ここでは「評価をわきにおいて」と訳させて頂きます。
 
 
 

「評価をわきにおいて」

 

 

1つ目の心構え「評価をわきにおいて」とはどういうことなのでしょうか。
 
みなさんは、瞑想をやっている最中にこんな思いが浮かんできたことはありませんか?
 
「退屈だなあ…」
「こんなことをやっていても意味がない」
「前回は心地よい状態だったのに、今はイライラしてダメだ…」
 
このように多くの場合、私たちの心は物事に対して「良い」「悪い」と自動的に判断するように習慣づけられています。
 
実は、こういった心の働きが「評価」と呼ばれるものです。
瞑想においては、このような評価を一旦わきにおいて、ありのままに物事を感じとる練習を行います。
瞑想のガイドでよく「ありのままに」という言葉が出てきますが、これは「評価をわきにおいて」と言い換えてもほぼ同じ意味です。
 

 

自動的な評価と悪循環

 

 

それでは、どうして瞑想では「評価をわきにおく」練習をするのでしょうか?
それは、一言でいうならば、「いつもの偏ったものの見方から脱するきっかけを得るため」と言えます。
 
一つ例を挙げてみましょう。
仕事に時間がかかることを気にしているAさん。心にはいつもこんな言葉が浮かんできます。
 
「私はいつも仕事に時間がかかってダメだ」
「それに比べBさんはテキパキと仕事をこなしてすごい」 
 
いつもこのような評価を繰り返していると、自分を責め、自信をなくしてしまいますよね。
 
でも、本当に「仕事に時間がかかる」ことはダメなことなのでしょうか?
「時間をかけて丁寧に仕事をこなしている」という捉え方もできるかもしれませんよね。
 
しかしこのような評価は脳の中であまりに素早く自動的に行われるため、Aさんは、評価をしていることにも気づかず評価しています。
さらに自動的な評価を繰り返していると、その思考パターンが強固になり、「時間がかかる→ダメ」と物事を一面的にしか見ることができなくなってしまいます。
そうすると状況は改善しないばかりか、「自信をなくす→パフォーマンスが落ちる→さらに自信をなくす」という悪循環に陥ってしまうかもしれません。
 
 
 
 
 
 
 

自動的な評価を手放す

 
 
そこで役に立つのが、瞑想における「評価をわきにおく」練習です。
 
「前回は心地よい状態だったのに、今はイライラしてダメだ…」
 
瞑想中にもしこんな評価の考えが浮かんだら、それに気づいて、手放せるか試してみましょう。
 
手放す際には、元々観察していた呼吸や身体の感覚などに戻るのがよいでしょう。
 
自動的に評価をするのは心の自然な性質ですので、評価が浮かんだからといって自分を責める必要はありません。
優しく、淡々と今の感覚に戻りましょう。
 
練習を繰り返すうちに、心が自動的に下している評価に気づく力が鍛えられていきます。より中立的に問題を捉え、建設的な対応ができる可能性が高まるのです。
 
 
 
 

まとめ

 
 
 
いかがだったでしょうか。今回は「評価をわきにおいて」という心構えを紹介しました。
次回以降もマインドフルネスの実践に役立つ心構えを紹介していきますので、ぜひチェックをお願いします!
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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