はじめに読むコラム
こちらの記事は東洋医学の「基礎」となるコラムです、より理解していただくために、まず、はじめにご覧ください。
漢方薬の効果と種類
漢方内服薬が身体に効くメカニズムと効果は以下のとおりです。
・方薬の成分が六腑で体内に吸収されます。 ・各生薬の成分はその性質により関係する五臓に取り込まれます。 ・各臓腑から経絡を通じ全身へと作用します。 ・有効成分が身体のバランスを整え、自然治癒力を高めるような効果を発揮します。 |
漢方薬の種類は煎じ薬やエキス剤のほか、丸薬・散薬・膏薬・OTC医薬品などいくつかの種類に分けられます。
煎じ薬 |
水から生薬を煮出した液薬です。ガラス容器やほうろう鍋、土瓶で30~40分間煎じ、抽出された煎じ薬を服用します。 患者の体質や証に合わせてオーダーメイドで生薬の種類や量を加減することができるため、漢方処方の基本形となっています。 ただし、服用する際自分で煎じなければならないことや、煮出す手間がかかるなど不便なところがあります。 最近、病院や薬局などで生薬を煎じるサービスが増えていますが費用がかかります。 |
丸薬 |
生薬を粉末状にし、蜂蜜などで丸い形に固めた薬です。体内でゆっくり溶けていくため、薬効が緩やかで持続性もあります。 |
散薬 |
生薬を細かく粉末状にし、混合したものです。一般的に白湯か水で服用します。すぐに服用でき、即効性があるのがメリットです。 |
膏薬 |
生薬成分を抽出し、ワセリンや蜜蝋などで固形にした薬で、現在では塗薬として皮膚疾患に使用します。痔やおでき、傷、湿疹などに使われます。 |
エキス剤 |
煎じ薬、丸薬、散薬の中の成分を濃縮した薬です。 具体的には処方の法則に従って、複数の生薬を調合し、工場で煮出し、抽出液の余分な水分を除き、液を濃縮し、霧状に噴出させ、そこに熱風を当てて乾燥させ、固めるための賦形剤を混ぜて乾燥エキス顆粒にしたものと粉末・カプセルや錠剤・液体状に加工されたものがあります。 メリットとしては保険が利く場合が多いことや煎じる時間が省け、持ち歩けるといった点ですが、一人ひとりの体質や状態に合わせて、方剤の配合を細かく変えることはできません。 既製のエキス剤では効果が出にくい場合は、生薬を新しく組み合わせて煎じ薬で治せる場合もあります。実際の診療現場では主にエキス剤が使用され、エキス剤では対応できないような難しい病気、複雑な病気、経過の長い病気に対しては、煎じ薬が処方されることが多いようです。 |
OTC医薬品 |
医師の処方箋が不要で、一般薬局で購入できる一般用漢方薬製剤のことを指します。ただし、安全性を考慮し、成分量が抑えてあるため、効果は弱い場合があります。 |
参考文献
- 関口善太著.やさしい中医学入門.東洋学術出版社,1993
- 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
- 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
- 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019