はじめに読むコラム
こちらの記事は東洋医学の「基礎」となるコラムです、より理解していただくために、まず、はじめにご覧ください。
漢方薬の十分な効果を得るためには、正しい飲み方が重要です。特に、煎じ薬は煎じ方や保存方法、服用するタイミングなどによって、その効果が変わることもあります。
煎じ薬
漢方の服用方法の基本ですが、煎じてから1日以上経つと、成分が変化してしまうこともあり、作り置きはできません。面倒でも、1日分ずつ煎じて2~3回に分けて服用します。
煎じるには、まず1日分の漢方薬と水を土瓶あるいは耐熱ガラス、ほうろうなどの容器に入れ、強火で沸騰させます。沸騰したら弱火にし、水量が半量になるまで煮詰め、煎じ終わったら直ちに濾します。なお、生薬によっては久煎(きゅうせん)する場合もあります。すぐに飲まない場合は、冷蔵庫や涼しい場所に保管し、飲むときに温めなおすとよいです。
エキス剤
粉末タイプが多く、水ではなく熱湯で溶かしてよくかき混ぜ、元の煎じた液体状にして飲むと、胃への刺激も穏やかで吸収がよくなり、効果的です。またお湯に溶くことで得られる香りにも治療効果があると考えられています。
漢方薬は苦いものが多いので、苦手という人も多いのですが、味に慣れるまではオブラートに包んで水と一緒に飲んでも構いません。まずは決められた量を飲むことが大切です。ただし、お茶やジュースなどと混ぜると効果が低下すると言われているので注意しましょう。
服用について
服用タイミング
食前や食間の服用が一般的です。これは空腹時に飲む方が、有効成分が吸収されやすいためです。食前に服用する場合は食事の約30分前、食間に服用する場合は、食後2~3時間後がベストです。
煎じ薬と食べ物が一緒に胃に入ると、腸に到達するまでに時間がかかり、身体への吸収が悪くなるため、注意しましょう。ただし、胃が特に弱い方や特別な薬効が出る漢方薬は食後の服用を薦められる場合があります。
飲み忘れた場合
漢方薬の種類に関係なく、薬量の2回分を1回で飲むようなことはしないよう、くれぐれもご注意ください。飲む時間を決めておくのが飲み忘れを防ぐコツです。
煎じ薬を飲むときの温度
基本的には人肌くらいに温める(温服)ことをお勧めします。なかには冷まして服用する涼服のものもありますが、その場合は室温程度に冷ましてから服用します。
併用薬がある場合
西洋薬の副作用や毒性を抑えるなど、漢方薬との相互作用が注目されていますが組み合わせによっては副作用があるかもしれません。
いずれにせよ、漢方薬を服用する際には、医師や薬剤師による服用指示に必ず従うことが重要です。
参考文献:
- 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
- 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
- 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
- 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019