HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

最近忘れっぽい…?それはマインドレス状態かも

 
 
 
Q.最近忘れっぽい気がしています。
 
席を立って移動したのに自分が何をしようとしていたのか忘れていたり、人と話していて「それ、前も聞いたよ」と言われたりすることが増えてきました。
それくらいならよいのですが、出かけたあとで鍵を閉めたかどうか気になったり、コンロの火を消したか不安になったりすることもあり、だんだん心配になってきました。何かよい対応はないでしょうか?
 
A.それはもしかしたら「マインドレス状態」かもしれません。
マインドフルネスの練習をすることで、改善が得られる可能性がありますよ。以下に詳しく説明していきますね。
 
 

もしかして…認知症?

 
 
私は医師として多くの患者さんの話をお聞きしていますが、「最近物忘れが増えた」というご相談をよく頂きます。
「物忘れ」と聞いてみなさんの頭に最初に思い浮かぶのは「認知症」ではないでしょうか?
「でも私は認知症というほど歳をとっているわけでもないのに、忘れっぽくなっているのはどうしてだろう?」と考えてご相談くださる方が多いです。
 
確かに、物忘れの中には認知症として治療が必要な場合もあるのですが、多くの場合は次にご説明する「マインドレス状態」によるものです。
 
 

マインドレス状態とは

 
 
「マインド」は「心」、「レス」は「ない」という意味ですので、「マインドレス」とは簡単にいうと「心ここにあらず」の状態です。実は私たちは忙しかったり、悩み事があったりするとマインドレス状態になりやすいのです。
 
人間の注意力には限りがあるため、全ての物事に同時に注意を向けるということはできません。
「注意は限りある資源」であるということですね。
 
しかし、忙しいときにはどうでしょうか。「これが終わったらあれをしないといけない」「あれは間に合うだろうか」と、頭の中でいろんなことを考え、そちらに注意という資源を奪われてしまうんですね。
 
悩み事があるときも同様です。「あの人に今度あったら何と言おうか」とか、「何であんなこと言われないといけないんだ」とか、頭の中で延々繰り返される思いに注意を奪われてしまいます。
 
こうなると、「今目の前にあること」に使う注意が残っていない状態になるんですね。これがまさに「マインドレス」=「心ここにあらず」の状態です。
 
みなさんも多忙や悩み事の心当たりはないですか?
 
 

マインドレスを解消するには

 
 
当然ながら「マインドレス状態」では「忘れっぽく」なっていきます。何事にも上の空で過ごしているので、記憶に残りづらいんですね。鍵を閉めたかわからなくなったり、火を消したか忘れてしまったりするのもうなづけます。
 
そんな「マインドレス状態」を解消するにはどうすればよいのでしょうか。
原因となっている忙しさやストレスがなくなればよいのですが、それができたら苦労しませんよね。
 
一つの良い方法は「瞑想」を行うことです。瞑想、特に集中瞑想と呼ばれる瞑想では、注意のコントロールを練習し、「心がここにある」時間が長くなるようにトレーニングしていきます。これにより目の前のことに集中しやすくなり、結果として自分が体験したことをしっかりと覚えられるようになっていくのです。
 
瞑想といっても、難しいことをする必要はありません。最も基本的な瞑想の一つである呼吸瞑想から始めるのはいかがでしょうか。1日5分でも10分でも、道具も経験も必要ありませんのでぜひ試してみてくださいね。
 
もしよろしければ呼吸瞑想のやり方を説明したこちらの記事をご覧ください。
 
 
 

まとめ

 
 
いかがだったでしょうか?どんな瞑想をすれば良いのか迷っている方の参考になれば嬉しいです。
HHLABでは瞑想に関する情報をたくさん発信していきますので、ぜひ今後もチェックをお願いします!
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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