HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

ラベリング瞑想とは? 〜瞑想Q&A〜

 
 
 
今日のご質問
 
Q.
感覚や感情に「痛み」や「不安」と名前をつけていく「ラベリング瞑想」というものがあることを知りました。
しかし、先生の瞑想ガイドではよく「ありのままの感覚を観察してください」と言われます。
名前をつけるとありのままではなくなる気がするのですが、どう考えればよいのでしょうか。
 
A.
ご質問ありがとうございます。今日は「ラベリング瞑想」と「ありのまま瞑想」についての考え方を解説していきますね。
 
 
 

ラベリング瞑想の方法

 
 
 
ラベリング瞑想というのは、数ある瞑想の方法のうちの一つです。静かに座っていると、心にさまざまな対象が現れます。
例えば身体の感覚。思いや感情。それらの対象に「痛み」「不安」などと名前をつけていくのが「ラベリング瞑想」です。
ラベリングという名称は、対象に名前のついた「ラベル」を貼るというところから来ています。
 
感覚に名前をつける例:痛み、痺れ、冷たさ、重たい感じ、….
思いに名前をつける例:仕事に対する思い、家族に対する思い、…
感情に名前をつける例:不安、焦り、穏やかな感じ、…
 
 
 
 

ラベリング瞑想の利点

 
 
 
ラベリング瞑想を行うことの1つの利点は、対象を客観的に観察できることです。
特に不快な対象の場合は、それらに目を向けたときにその中に取り込まれたり、迷い込んだりすることがあります。
例えるなら、感覚や感情という「風船」の中に入り込んでしまったような状態ですね。
 
そんなときに「痛み」や「不安」といった名前をつけることで、それらを明確に対象として認識する手助けになります。
つまり、風船の外側に出て、その風船にラベルを貼るイメージです。このような心の働きを「脱中心化」と呼ぶこともあります。
 
脱中心化ができると、不快な対象に過度にとらわれることなく、平静な心の状態を保ちやすくなります。
 
 
 

「ラベリング瞑想」と「ありのまま瞑想」の関係

 
 
 
それでは、ご質問に戻りましょう。瞑想のガイドにはよく「ありのまま」の感覚を感じとってみましょう、という言い回しがありますよね。
このような瞑想を仮に「ありのまま瞑想」と呼ぶことにしましょう。
ありのまま瞑想では、言葉を使わずに、今起こっている感覚や感情を直接に感じとるということを重視します。
それは、今の自分や周囲の状況をより正確に感じ取るためです。言葉を使うと、自分の解釈が入ってしまうという考え方ですね。
 
ありのまま瞑想はラベリング瞑想とは重視する要素が違うと考えていただくと分かりやすいと思います。
ラベリング瞑想はどちらかというと「脱中心化」を重視しているため、とらわれやすい対象に注意を向ける際には適しています。
また「ラベルをつける」という作業に落とし込まれているため、何をするのかがわかりやすく、瞑想を始めたばかりの方でも取り組みやすい瞑想です。
 
一方、ありのまま瞑想は「正確な現状認識」を重視しています。少し概念的でわかりにくい印象を持たれる方が多いものの、
瞑想の段階が進み、先入観にとらわれない新しい対応を探る際には力を発揮する瞑想です。
 
このように2つの瞑想は性質が違うものとして捉えていただくと、混乱をせずに済むのではないでしょうか。
 
 
 

まとめ

 
 
いかがだったでしょうか?今日は「ラベリング瞑想」と「ありのまま瞑想」との関係についてご説明しました。
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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