HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

最近喧嘩が多いです 〜マインドフルなコミュニケーション①〜

 
Q.
最近夫との喧嘩が多いです。出したものを片付けなかったり、脱いだ服をそのままにしたりしているのですが、何度注意しても一向に変わりません。それどころか注意したのをきっかけに相手が反発して口喧嘩になってしまいます。
 
A.
親しい人ほど、お互いの意思を正確に伝えるのが難しかったりしますよね。もしかしたら「マインドフルネスを生かしたコミュニケーション」が役に立つかもしれません。2回の記事に分けて、ポイントをお示ししますね。
 
 

STOPをしてみる

 
 
腹が立ったときについつい口調が強くなったり、言葉を選ぶことができずに相手と衝突してしまう経験はどなたにもあるのではないでしょうか。
こんなときには次に紹介する「STOP」という技法が役立つかもしれません。
 
「STOP」とはマインドフルネスの技法の1つで、対応するための間(ま)を取るための方法です。
STOPは各手順の頭文字になっており、4つのステップからなります。
 
S(Stop) 止まる
最初のSはそのままStopのSです。文字通り身体の動きを止めます。
 
T(Take a breath) 一呼吸おく
一呼吸おいて間を作ります。
 
O(Observe) 観察する
今の身体の感覚や心の状態を観察してみましょう。このステップはマインドフルネスのプラクティスで培った観察の力が活きてくる部分です。
ストレスがかかると身体には色々な反応が起こります。筋肉が緊張したり、心臓の鼓動が強くなったり…また心にも怒りや悲しさといったさまざまな感情が訪れます。今の心身の状態に注意を向け感じとるステップです。
 
P(Proceed) 次に進む
以上のステップを経た上で、次の対応を選びます。これにより、感情任せにとっさに反応してしまうことが減り、より建設的な対応を選ぶことができるようになります。
感情的に話してしまいそうであれば一旦その場を後にするという選択もあり得るでしょうし、次の段落で説明するような、より中立的な言葉遣いで自分の要求を伝えるという方法も取りやすくなります。
 

STOPに関してはこちらの

STOP 〜心の落ち着きを取り戻す技法〜

記事もご覧ください。

 
 
 

中立的な言葉で表現する

 
 
マインドフルネスで大切にされる姿勢として「評価や判断をしない」というものがあります。
相手に自分の要求を伝えるための準備として、このポイントを押さえた言葉遣いが役に立ちます。
 
例えば、「いつも出しっぱなしにして、全然片付けないじゃない!」という表現を考えてみましょう。
この表現の中で「いつも」「全然」という部分は、評価が含まれる言葉になっています。
 
このような言葉遣いの場合、言われた相手としては感情的に反発しやすくなってしまいます。
「毎回片付けていないわけじゃないぞ!」とムッとしてしまい、自己防衛や他責に転じやすい状態です。
これではメッセージが伝わらずもったいないですよね。
 
では評価が含まれない表現とはどういうものでしょうか?例えば、次のような表現が考えられます。
「日曜日に〇〇の本を出していたときも、片付けずに出かけていたよね」
ポイントは日時を明らかにし、事実に基づいて表現することです。
このような言い回しであれば、相手の無用な反発を引き起こす可能性が小さく、より効果的に自分からのメッセージを続けることができます。
 
 

まとめ

 
 
いかがだったでしょうか。次回の記事では、今回の内容を受けて、効果的に自分の要求を相手に伝えるための方法を解説していきます。
HHLABでは日常に役立つマインドフルネスの情報をたくさん発信しておりますので、よろしければ他の記事もチェックしてみてくださいね!
 
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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