HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

マインドフルネスで嫌なことにも気づいてしまう?

 
マインドフルネスでは、瞑想を通じて様々な対象に気づきを向けていくことを練習します。
しかし、ときに以下のような質問をいただくことがあります。
 
「気づく練習をしていると、嫌なことにも気づいてしまうのではないでしょうか。」
 
今日はこの質問にお答えする形でお話ししていきます。
 
 
 
 

嫌なことにも気づく?

 
 
マインドフルネスの実践では、五感を通じて様々な対象に気づきを向けていきます。
例えば呼吸瞑想であれば呼吸の感覚に注意を向けますし、歩行瞑想では足の裏の感覚に注意を向けます。
感覚を通じて、今この瞬間の現実に気づくというのがマインドフルネスの大切な要素なのです。
また、瞑想の種類によっては心の状態に注意を向けることもあります。
 
このように様々な対象に注意を向けるため、
「瞑想をしなければ気づかなかったはずの嫌な感覚や感情にも気づいてしまうのではないか」という疑問が浮かんでくるのは自然です。
このことについてどう考えれば良いのでしょうか。
 
 
 

習慣的な反応

 
 
 
結論から言いますと、マインドフルネスの実践によって嫌な感覚、嫌な感情に気づくことはもちろんあります。
しかしマインドフルネスでは、そういった嫌な対象に、新しいやり方で対応していくことも同時に練習するのです。
 
マインドフルネスの実践では、嫌な対象に出会ったときに、今までの人生でとってきた習慣的な反応を繰り返すのではなく、意図的に対応をすることを練習します。このことによって、今の自分にとってより適切な選択をとることが可能になるのです。
 
例をあげて説明していきましょう。
 
 
 
 
 
 

建設的な対応

 
 
例えば仕事でミスをして、自分を責める気持ちが浮かんできたとします。
そんなときに無意識にそこから逃げるようにスマホで漫然とネットサーフィンをしたり、夜更かしして動画を見てしまったりすることはないでしょうか。結果として仕事を先送りにしたり、寝不足になってしまったりして、余計にミスが生じやすくなる悪循環に入るかもしれませんよね。
 
このように私たちは多くの場合、嫌な感情が浮かんだときに、無意識に習慣的な反応をしてしまいます。
しかし、マインドフルネスの実践によりその感情に気づくことができれば、より適切な行動を選べる可能性が生まれます。
言い換えると、感情に気づくことにより、より良い対応のための「間」を作ることができるのです。
 
例えば感情に気づいて、「今日は心が疲れているようだからしっかり睡眠をとろう」という選択ができれば、今までの習慣的なパターンから解放されて、前向きな結果を得ることができるかもしれません。
 
 
 

まとめ

 
 
このようにマインドフルネスの実践においては嫌なことに気づいた上で、それに捉われすぎずに、客観的な視点を保ちながら受け入れるスキルを養うことができるのです。マインドフルネスは、嫌なことにもより建設的なアプローチを見つける手助けをしてくれます。
感情を受け入れながら冷静な判断を下し、前向きな態度で嫌なことに向き合うスキルを身につけることで、心のバランスを保ちつつ、日々のストレスを軽減できるでしょう。
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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