HOLISTIC HEALTH JOURNAL

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マインドフルネスの心構え⑦手放して

 
 
 
現在お送りしている記事シリーズでは、マインドフルネスの実践を続けていくにあたって大切な「7つの心構え」について説明しています。
この「7つの心構え」はマインドフルネスストレス低減法(MBSR)というプログラムの中で紹介されるものですが、このMBSRに限らずマインドフルネスの実践に取り組まれている方皆さんに参考になることだと思い、紹介させて頂きます。
 
7回目、最終回の今日は「手放して」という心構えについて説明していきます!
英語では「Letting Go」ですが、ここでは「手放して」と訳させて頂きます。
 
 
1回目記事はこちらマインドフルネスの心構え①評価をわきにおいて
 
2回目記事はこちらマインドフルネスの心構え②粘り強く
 
3回目記事はこちらマインドフルネスの心構え③追い求めない
 
 
 
 
 

猿をつかまえる方法

 
まず「手放して」を説明するためにある逸話を紹介します。
 
インドには猿を捕まえるための賢い方法があるそうです。まずココナッツの殻を用意し、それに穴を開け、バナナを忍ばせます。
この時の穴の大きさは、猿のこぶしが丁度入るくらいのサイズにするのがコツとのこと。
 
このココナッツの罠を猿がいる木の根元に針金で固定しておくと、猿が降りてきて、殻の中に手をつっこみます。
猿の手は内部のバナナをつかむのですが、穴が小さいので、バナナをつかんだままだと手を抜くことができないのです。
そこでバナナを手放して逃げればよいようなものですが、ほとんどの猿はバナナを諦めきれずつかんだままにするので、人間につかまえられてしまうとのこと。
 
これは本当に存在する方法なのかは定かではないのですが(汗)、手放しての概念を説明するのにはとてもよい例えだと思い紹介しました。
 
 
 
 

初めての気持ちで

 
 
そのように考えると、今この感覚を感じ取れるのは、今まさにこの瞬間をおいて他にないということになります。
そのことに気づくと、今一度きり、通り過ぎていく感覚が大切に思えてくるのではないでしょうか。
 
一見同じことの繰り返しのように見える事柄も、実は一度きり。毎回毎回が、その出来事に出会うまさに初めての瞬間である。
 
そのような心持ちで物事に出会うことをさして、マインドフルネスでは「初めての気持ちで」の心構えと言います。
 
「初心」という言葉が使われることもありますが、この言葉を使う場合は、誤解がないように注意が必要です。
「初心」というと、「初心忘るべからず」という言葉が思い浮かぶのではないでしょうか。
この言葉には、「初めて物事を行ったときの心持ちを忘れるな」といったニュアンスがありますよね。
 
しかし、マインドフルネスで言う「初心」は、「毎回毎回が初めてである」ということに気づくということなのです。
このように、初心というと誤解を生じやすいため、私は「初めての気持ちで」という言葉をよく使っています。
 
 
 

手放すのは難しい

 
この例えからも分かるとおり、欲しいものに対する「渇望」を手放すのは難しいことです。
車や家、腕時計といったわかりやすいものから、地位や名声といったもう少し抽象的なものまで…
すでに持っているものだけでなく、これから手に入れたいものも含めて、それに執着することによって、いつの間にか自分を見失うということはあるのではないでしょうか。
 
渇望だけではなく、反対の「嫌悪」も手放すのは困難です。
心には、嫌なものに対して、それをどこかに押しやろうとする働きがあります。
例えば、気の進まない仕事があるとついつい後回しにしたり、辛い痛みがあると鎮痛剤で目を背けたり、ということは誰にでもあるのではないでしょうか。
 
このように、心には「渇望」や「嫌悪」といった働きがあります。これらは心の自然な働きではあるのですが、これらが強すぎると生活に支障をきたすことがあります。欲しいものを追い求めるあまり不満感を募らせたり、嫌悪のあまり解決すべき問題から目を背けてしまったり。そんなときにまさに大切なのが、「手放して」という心構えなのです。
 
 

瞑想で手放す練習をする

 
 
実は瞑想においては、渇望や嫌悪を手放すということを繰り返し練習します。
 
瞑想中に、とても集中できる瞬間が訪れると、「いつまでもこの状態が続いてほしい」という思いが浮かんでくることはないでしょうか。
しかし実はこれも、渇望の一種なのです。このような思いが浮かんでくることは自然なことですが、それがあまりに強すぎると、集中ができないときの不満感が強くなり、瞑想が続かなくなってしまうかもしれません。そこで、そのような渇望に気付きつつ、そっと手放してみましょう。集中できない状態を、ありのままにしておくということです。
 
 
一方で、瞑想中に脚が痺れると、「この痺れをなんとか消し去りたい」という思いが浮かびます。
これは、瞑想中に起こる嫌悪の働きです。この場合も、嫌悪が生じていることに気付きつつ、それを手放すことができるか試してみましょう。ただこの痺れという感覚がどのように変化していくのか、ありのままに眺める練習をするのです。
 
このように、瞑想中には心地よいことや不快なことがたくさん起こり、それぞれに対して渇望や嫌悪が生じます。しかし、これはそれらを手放す練習をする好機であるとも言えます。
瞑想中にいちいち反応しないスタンスを練習することで、日常生活でも、過度に渇望や嫌悪に振り回されない態度が少しずつ身についていきます。
 

まとめ

 
いかがだったでしょうか。今回は「手放して」という心構えを紹介しました。
7回にわたってお送りしてきたマインドフルネスの心構えは、今回で最終回となります。次回以降もマインドフルネスや瞑想に関する記事を執筆していきますので、ぜひチェックしてください!
 
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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