HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

ストレスとマインドフルネス④ マインドフルネスでストレスに対処する

 
前回の記事ではストレスにより健康障害が起こる過程を、「急性過覚醒」「慢性過覚醒」「破綻」といったキーワードを用いて説明しました。
今回の記事では、ストレスが健康障害を引き起こす前に、マインドフルネスが果たすことのできる役割について解説していきます。
 
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ストレスとマインドフルネス③ ストレスが健康を害する仕組み

 

 

 

ストレスのフローチャート

 
 
前回、ストレッサーの出現から健康障害までの流れを説明しましたが、それを整理したものが以下のフローチャートです。
 
 
ストレスによる健康障害の怖いところは、知らず知らずのうちに進行していることです。身体の変化に気づかず長い間生活を改めない状態が続くと、気づいた頃にはもう健康を損ねているということになりかねません。
 
このようにストレスが健康障害に結びつかないようにするためには、このフローチャートが「破綻」に至る前に気づき、対処していく必要があります。
そのために重要な役割を果たすのがマインドフルネスなのです。
 
 

身体感覚で気づく

 
 
「破綻」に至る前に気づくといっても、どのように気づくのでしょうか。
そのために有用な考え方が、マインドフルネスにはいくつかありますが、今回は中でも大切な2つを取り上げます。
 
1つめは「身体感覚で気づく」という考え方です。
すでに説明したように、身体的・心理的ストレスのいずれでも身体的ストレス反応が起こります。
マインドフルネスの実践では、身体感覚に気づく練習を繰り返し行いますので、ストレス反応に伴う身体感覚の変化に気づきやすくなります。
 
たとえば急性過覚醒においては心臓の鼓動が速くなったり、呼吸が速くなったりするのに身体感覚で気づくことができるかもしれません。
また慢性過覚醒においては筋肉の緊張の持続からくる凝りを、痛みや痺れといった感覚で察知できるかもしれません。
 
このような身体感覚の変化は、ストレスに気づき、生活環境を変えたり、生活習慣を改めたりするための大切なきっかけになります。
 
 

セルフケアの3つの円

 
「身体感覚で気づく」といっても、生活を送っていく中で、一時的に無理をしないといけないということもありますよね。
「ストレスには気づいているんだけど、今は簡単には生活を変えられない」そんなタイミングもあるはずです。
 
そんなときにどこまでがセーフで、どこからがアウトなのか判断するツールとなるのが、セルフケアの3つの円という考え方です。
 
 
セルフケアの3つの円は上図のように、「快適ゾーン」「チャレンジゾーン」「行き過ぎゾーン」という3つのゾーンからなります。
ストレスに気づいたときには、今の自分がこれらのゾーンのどこにいるのかということも併せて把握することが大切です。
マインドフルネスの実践では、主にヨーガなどを通じて、この練習を繰り返します。
 
「身体感覚」と「セルフケアの3つの円」の考え方を組み合わせることで、破綻に至ることなく、ストレスと持続可能に付き合っていく道がひらけるのです。
 
セルフケアの3つの円について、詳しくはセルフケアの3つの円 〜自分の状態に気づく〜  ←こちらの記事にも書いていますので参考にしてください。

 

 
 

まとめ

 
今回はマインドフルネスがストレス対処に果たす役割について説明しました。ここまで読んでくださりありがとうございます。
これでストレスとマインドフルネスのシリーズは一旦終了となりますが、HHLABでは引き続きストレスへの対応に役立つ記事を掲載していきますので、
ぜひチェックをお願いします!
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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