HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

完璧を手放す

何かに取り組むとき、完璧を目指すあまり、自分を責めてしまうことはないでしょうか?仕事・家事・人間関係など、一生懸命やっているつもりでもうまくいかない部分があると、つらい気持ちになりますよね。そんなとき、もしかしたらマインドフルネスの考え方が役に立つかもしれません。
 
 
 
 
 

完璧志向

 
 
 
私たちは、子どもの頃から学校でテストがあり、点数をつけられるということを繰り返しています。また、仕事を始めても、周りから与えられる評価基準に自分を合わせないといけないことが多いですよね。
 
このような評価基準は、学習や仕事を効率的に進め、改善を行うために大切な役割を果たしています。しかし外からの基準に自分を合わせることが当たり前になりすぎると、常にその定規の上でしか自分を評価できなくなってしまうことがあります。「もっとよい結果を残さなければならない」「もっとうまくやれるはず」そのように自分に言い聞かせているうちに、いつしか「今の自分はダメだ」という気持ちが心に芽生えることもあります。
 
このような心の働きはいわば「完璧志向」といってもよいかもしれません。皮肉なことに、周りから見ると十分に成果を挙げている人でさえ、内心でこのような自責の念に悩まされていることが多いのです。
 
 
 

完璧志向の弊害

 
 
完璧志向が強すぎると、自責の念にかられるばかりではなく、視野が狭くなることがあります。
 
仕事での成果を追い求め、比類ない結果を出したとしても、その影で多くの犠牲を払っているかもしれません。ストレスのあまり飲酒量が増え健康を損ねたり、家族関係がギクシャクしたりする例もあります。ある部分で完璧を目指すことが、総合的に見て自分の幸福につながっているのか、ときには立ち止まって考えることが必要かもしれませんね。
 
とはいえ、この完璧志向は心に強固に根付いていることが多いため、手放すことは容易ではありません。そこでマインドフルネスが力を発揮します。
 
 

完璧を手放す練習

 
 
 
 
 
 
マインドフルネスの実践(瞑想)では、今の自分の状態を認めるということを繰り返し練習していきます。瞑想をやっていると「うまくいかない」と感じることが多々あります。イライラしたり、集中が続かなかったり…ときには「自分は瞑想に向いてない」と、さじを投げたくなることもあります。瞑想の中にも「完璧志向」が入ってくる、というわけですね。
 
しかし、それで大丈夫です。むしろ、完璧思考が入ってくるからこそ、それを手放す練習ができるともいえます。瞑想においては、今の自分の状態を認めてあげることを繰り返します。瞑想をしている間は、特に何かの目標を達成する必要はありません。ただ、気づいて、今の身体の感覚に戻る。呼吸瞑想であれば、呼吸の感覚に戻る。これを繰り返していきます。
 
私の場合は、瞑想を続けるうちに「全てがうまくいっている必要はない」ということが体感として得られてきたように思います。また、「うまくいっている」というのも、自分の心が作り出した基準にすぎないということにも気づくようになりました。次第に、実生活での完璧志向とも適切な距離を取ることができるようになったと感じています。
 
 
 
 

まとめ

 
 
 
いかがだったでしょうか。完璧志向に悩まされているという方は、選択肢の一つとして瞑想を実践してみることをご提案します。実際の瞑想のやり方に関してはこのHHLABで多数の記事を執筆しています。ガイド音源も記事に掲載していますので、ぜひ利用してくださいね!
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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