HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

マインドフルネスの心構え③追い求めない

現在お送りしている記事シリーズでは、マインドフルネスの実践を続けていくにあたって大切な「7つの心構え」について説明しています。
この「7つの心構え」はマインドフルネスストレス低減法(MBSR)というプログラムの中で紹介されるものですが、このMBSRに限らずマインドフルネスの実践に取り組まれている方皆さんに参考になることだと思い、紹介させて頂きます。
 
3回目の今日は「追い求めない」という心構えについて説明していきます!
英語では「Non-striving」ですが、ここでは「追い求めない」と訳させて頂きます。
 
1回目記事はこちらマインドフルネスの心構え①評価をわきにおいて
 
2回目記事はこちらマインドフルネスの心構え②粘り強く
 
 
 

効果を期待するあまり

 
この記事を読んでくださっている方は、ある程度マインドフルネスに興味を持ってくださっていることと思います。
みなさんがマインドフルネスに興味をもったきっかけはなんでしょうか?
 
「集中力を高めたい」
「仕事の生産性を高めたい」
「不安な気持ちをなくしたい」
「痛みをなんとかしたい」
 
マインドフルネスに何かの効果を期待して瞑想を始めたという方も多いと思います。
 
しかし毎日瞑想を続けていても、「すぐに効果が目に見えてわかる」という経験はあまりないのではないでしょうか。
 
そんなとき、「なんとか効果を実感したい」と頑張れば頑張るほど、心に余裕がなくなっていくということが起こりがちです。
変化を感じる前に日々の瞑想がつらくなり、マインドフルネスから離れてしまうということはよくあります。
 
効果を追い求めるほど、効果から離れてしまうという逆説的な状況に陥ってしまうわけですね。
そこで、今回のテーマである「追い求めない」という心構えが大切になってきます。
 
 

マインドフルネスの練習はビーイング・モードになる練習

 
 
「追い求めない」という心構えについて説明するために、まずドゥーイング・モードビーイング・モードという言葉を説明させてください。
 
ドゥーイング・モードとは、「する」モードとも呼ばれます。私たちの日常生活はほとんどの時間がこの「する」モードと言っても過言ではありません。
「あれを改善しなければならない」「これをなんとかしなければならない」と、問題解決のために次々と反応を繰り返し忙しくしているのがこのドゥーイング・モードです。
 
このドゥーイング・モードは、タスクを効率的にこなしていくのに有効な場合がある反面、欠点も持ち合わせています。
問題解決にこだわるあまり視野が狭くなり全体像を見失ったり、知らず知らず健康面の犠牲を払ったりしてしまうことがあるという点です。
結果として問題を解決できずに終わってしまうことがあります。
 
一方、ビーイング・モードは「ある」モードとも呼ばれます。ただ存在しているだけ、というモードです。
少し分かりにくい場合は、「周りのことに反応せず、ただ気づいているだけ」のモードと言い換えても構いません。
自分の状況、周りの状況によく気づき、自動的な反応を起こさない状態です。
 
世の中にはドゥーイング・モードだけでは解決できない問題があるということは、皆さんも共感していただけるのではないでしょうか。
そのような問題に対してビーイング・モードが有効なことがあります。もちろんすべての問題がビーイング・モードで解決するというわけではありませんが、試してみる価値はあるということです。
 
マインドフルネスの真骨頂は、このビーイング・モードを練習することにあります。ビーイング・モードになることで、ドゥーイング・モードにおいて捉われていた思い込みや、いつもの行動パターンから自由になり、抱えていた問題が変化する可能性が生まれるのです。
 
 
 

「追い求めない」

 
 
最初の段落で「なんとか効果を実感したい」とマインドフルネスの実践を頑張っている状態の話をしました。この状態について少し考えてみてほしいのです。
マインドフルネスの真骨頂はビーイング・モードの練習であるにもかかわらず、この状態では皮肉にもマインドフルネスの実践自体がドゥーイング・モードになってしまっていますよね。
 
私たちは普段、「問題を解決しよう」という思考パターンに慣れているため、ドゥーイング・モードになるのは自然なことです。そのことについて自分を責めたりする必要は全くありません。
効果や問題解決を追い求めるドゥーイング・モードになっていると気づいたら、「追い求めない」の言葉を思い出して、肩を抜いて瞑想に取り組んでみるのはいかがでしょうか。その過程こそがまさにマインドフルネスの実践です。
逆説的ですが、マインドフルネスの効果は、目的をわきにおいて取り組んだときにいつの間にか現れていることが多いのです。
 

まとめ

 
いかがだったでしょうか。今回は「追い求めない」という心構えを紹介しました。
次回以降もマインドフルネスの実践に役立つ心構えを紹介していきますので、ぜひチェックをお願いします!
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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