今回の記事シリーズでは、マインドフルネスの「定義」についてご説明しています。
その中でも注意の向け方について述べている部分は以下の4つに分けて考えることができるということでしたね。
③評価も判断もすることなく、注意を向ける
④手順に沿って、注意を向ける
前回は①と②を解説しましたが、今回は③と④について説明しますね!
③評価も判断もすることなく、注意を向ける
これは簡単に言うと、「決めつけずに物事をみる」ということです。
例えば会社で上司とすれ違ったとき、こちらが挨拶をしたのに向こうは挨拶を返してくれなかったとします。
そのときついつい、
「あーこの前の失敗を怒ってるに違いない」
「自分は嫌われてる」
という風に捉えるとすれば、それは評価や判断をしているということになります。
実際に起こったことは、自分が挨拶をして、相手が挨拶をしなかったということだけ。もしかしたら向こうが考えごとをしていて気づかなかっただけかもしれないし、単に忙しくて余裕がなかっただけかもしれませんよね。
初めから相手が怒っている、自分は嫌われている、と決めつけてしまうと、実際に起こったことから目を背けてしまったり、過剰に気にしてしまったりして、出来事をありのまま観察できなくなってしまいます。
先入観なく、対象をありのままみようと努めることが重要なんですね。
このことは、例えば瞑想中に身体の感覚を観察しているときにも重要です。
いつもは「不快な感覚」と捉えている感覚も、一旦いつもの捉え方を脇において、「実際にはどんな感覚なんだろう?」と注意を向けることによって、より正確に感覚を感じとることができるようになるんですね。
④手順に沿って、注意を向ける
これは、ボディスキャンという瞑想法を例にとるとわかりやすいと思います。
ボディスキャンとは、足の先から頭のてっぺんまで、全身の感覚にくまなく注意を向け、観察していく瞑想です。初めはガイドに沿って、慣れてきたら自分だけで、決まった順番に沿って感覚を観察していきます。
例えばMBSR(マインドフルネスストレス低減法)というプログラムでの代表的な順番は以下のようになっています。
左足の指 → 左足の裏 → 左足の甲 → 左足首 → 左下腿 →・・・
こんな風に上昇していって、左脚全体が終わると次に
右足の指 → 右足の裏 → 右足の甲 → 右足首 → 右下腿 →・・・
それが終わると
骨盤 → 腰 → 背中
今度は身体の前側を
お腹 → 胸
次に
両手 → 両前腕 → 両上腕 → 両肩
そして
首 → 顔 →頭部
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このように決まった手順で行うことで、全身の感覚をくまなく観察することができるわけですね。
毎回違う方法で思いつくままに行なっていると、無意識に観察を飛ばす部分が出てきてしまったり、好ましい対象ばかりを観察してしまったりということが起こりがちになります。
このことは他の種類の瞑想にも言えます。瞑想ではさまざまな対象を観察していきますが、
その際に一定の方法で注意を向けていくことで、普段は注意を向けない対象にも注意を向けることができ、気づきを増やしていくことができるんですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事で、マインドフルネスの「定義」についての解説を終わります。
最後に定義の文章を再掲します。
マインドフルネスとは…
今という瞬間のなかで、意図的に、そして評価も判断もすることなく、手順に沿って注意を向けていくことから生じる気づきです。J. カバットジン 著 春木 豊・菅村 玄二 編訳 (2013)マインドフルネス瞑想ガイド 北大路書房
マインドフルネスの書籍や講座などで必ずと言っていいほど出てくる有名な文章ですが、少し抽象的なので分かりづらい印象を持つ方も多いようです。今回の解説記事が参考になれば幸いです。