HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

東洋医学の活用

東洋医学療法の紹介コラム㊼ 気功療法㉔COVID-19 の中医気功法対策の一

COVID-19 の中医気功法対策

 

 

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、 中医学の「疫」の病の範疇に属し、病因は「疫戻」の気を感受することによるものです。病状は気候の特徴及び患者の体質の違いなどにより一定の変化や特徴が現れます。太古よりこのような感染症や疫病は、伝統中医学の主要な対象となっていました。しかし、日本では中医薬および治療が重篤な感染症にも有効であるという事実はあまり知られていません。今回のCOVID-19との闘いのなかでも、中国では中医療法が大きく役立ちました。中国と日本とでは、気候や体質で類似するところが多いため, 中医療法の効果が日本の医療現場においても役立つ可能性が高いと思われます。ここでは実践的に効果があった中医療法の1つである気功法について、紹介します。

 

 

中国武漢でも活用された気功法

 

 

 

 

気功法は「道具が不必要」「場所を取らない」「すぐに始められる」といった点が特徴で、中国最古の医学とされる健康法です。体調がよくないときに服薬や施術によらず、自らの治癒力を高めることで回復を促します。

気功とは、生命や宇宙、精神のエネルギーである「気」を鍛錬し、修得した技能のことです。「功」は短い時間でできるものではなく、根気強く積み重ねていく努力が必要となります。つまり気功法とは、生命活動に必要なエネルギーである「元気」の修練といえます。気功法の特徴は、経絡が滞った個所にエネルギーを注入して、本来の動きをさせ、本来人間が持っているエネルギー(免疫力)を活性化させて健康体をつくり維持することにあります。また、体の中心から健康にする気功法は外敵から自らの身を守ることもできます。

今回、中国の湖北省武漢では気功療法はCOVID-19の治療過程において、西洋医学の治療とともに中医療法の要素の1つとして活用され、感染の予防・重症化の防止に加え、重症化した患者の早期回復・ストレス解消など多方面で効果が認められています1)2)3)4)。

この事実を日本に紹介し、少しでも役に立ていただければ幸いです。武漢にある黄陂方艙医院(臨時医療施設)の中医師・范一平先生は今回のコロナ禍において、治療現場で気功療法を用いる嘉興市武漢支援医療隊の責任者(隊長)となられました。范先生は中医気功名人である解余宏先生が編集された気功療法を入院患者に習得させることで、よい結果が得られたため、大変な評判となりました1)2)。

方艙医院に収容されているのは、咳嗽・喀痰・胸悶・胸痛などの症状を持つCOVID-19の軽症患者です。このような患者の実情に対し、范先生は中医気功の観点から、大勢の患者に「清肺排毒気功」(後述)を教え練習させることで、清肺解毒と肺活量を高める目的を達成されました。患者は疫病による苦しい心理や隔離されている悪環境に加え、しっかり休養できないことなどから、緊張や焦燥感などから心理的な問題が表出しており,これらに対して、「振動リラックス気功法」と「経絡たたきリラックス気功法」(後述)を習得させることによって、これらの問題が効果的に緩和されたのです。さらに、より動ける患者に対しては健身気功の「八段錦」「六字訣」「太極拳」を教授されました(後述)。

患者らは中医気功を練習し、習得することで焦躁感情が著しく緩和され、心身ともリラックスした気持ちになったとのことです。

これらのことに関する范一平先生のコメントとして「患者を積極的・楽観的な精神状態にすることは、彼らの健康回復治療に対して有効です。中医気功を練習することで、人体の系統的なコントロール機能を増強し、自己治癒力を高め、患者の焦りやストレスを緩めることを助けます。適度な運動は免疫力を高め、治療の効果を倍増させます。初期段階の治療では、中医薬による関与は良好な効果を上げましたが、中医関係者として、すべての疾病治療過程において、さらに中医学的な要素を取り入れ、より多くの患者の健康に寄与したいです1)2)。」と述べておられます。

 

 

文献

1)包璐晨ほか:抗“疫情”日記/人称嘉興“F4”的他,将中医気功帯進了方艙医院.嘉興中医九如堂.2020 . 2 . 19

2)朱慧ほか:視頻連銭専訪/抗疫最前銭(7)/只愿患者早日出院隊員平安帰嘉.禾点点(全媒体新聞中心).2020 . 2 . 29

3)国際気聯“全球健身気功時間”来了 Hello, IHQF “Global Health Qigong Time”.国際健身気功聯合会IHQF.2020. 2 . 17

4)八段錦等中医功法納入《新型冠状病毒肺炎恢復期中西医结合康復指南(第一版)》.中華中医薬学会/中国医学気功学会.2020.4.5

5)八段錦列入中国新冠患者康復方案/ Baduanjin in Chinese Rehabilitation Program.国際健身気功聯合会IHQF

 

王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長

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