HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

東洋医学の活用

東洋医学療法の紹介コラム㊻ 気功療法㉓ 気功法の五の五

 

 

太極拳の保健作用

 

 

  天空にたなびく雲さえも、この手中におさめられるような気分にさせる太極拳のおおらかな動きは、生命にとって重要な血液と空気と水を体内にくまなく循環するしくみに促進効果があります。加えて、意識の中枢への伝達者である脳にやすらぎを与え、知力と判断力を養います。

  太極拳で出会う多くの友人の中に、近代医学では発見困難で不明確な病気や難病に悩んでいる人がいます。しかし、太極拳を続けるうちに顔色が冴え、明るくなり、女性は美しくなり、男性はたくましくなるのを見ると、太極拳によって運命をも変えることができるのではないかと自信が湧いてきます。

  一見、健康な人でも疾病は目に見えにくいところに潜んでいることがあります。このようなことから、今日では病気に罹る前に日常生活の中にスポーツを取り入れるという考え方が常識となりました。

  身体を動かす養生法を知っていれば、日々の体調の変化と比較しながら自分の健康にとって何が良く、何が悪いのか、新たな発見もできるのです。

 

それでは、太極拳はどのような点が優れているのでしょうか

 

 

  (1)神経系統を目ざめさせる

 

 

  私たちは神経系統の働きによって日常生活を営んでいます。心を静めて動作とともに完全統一を計る太極拳運動は、視覚、聴覚、触覚、熱覚、平衡感覚、方向感覚、運動感覚、体感覚、筋肉感覚、痛覚等の感覚が個々にではなく同時に働きます。

哲学的には共通感覚という言葉の次元である全体的直観、第六感の世界に遊ぶことになり、情緒が豊かになり、ノイローゼやストレスの解消など見事な効果を発揮します。

 

(2)心臓、血管、呼吸系統を改善する

 

  これらの系統は中枢神経の直接の支配を受け、心臓には全身からの脉管が延びて集中しているために人体の苦痛や緊張、恐怖が直接心臓や横隔膜に影響を与えます。

  太極拳運動の命は呼吸ですから、直接これらの系統を養うことにつながります。気を丹田に沈め、横隔膜の運動が十分になされると血液循環の状況も改良されます。

  運動を医師より止められた心臓病の人、慢性気管支疾患の人も一年ほどで健康な若い人たちに混じって太極拳ができるようになります。はじめは鼓動も速く、動きも速めですが、呼吸が深くなってくるにしたがい持久力がついてきます。

 

(3)骨格、筋肉、関節の老化を防ぐ

 

 

  一つの動きが太極といわれるほど、全身を動かす円運動の起点は足からはじまり腰、背筋が軸となりますので、自然に上体が中正になり、あらゆる筋肉関節に運動を与えて伸縮をくりかえします。ひざや腰を痛めている人を多く見かけますが、よほどの重症を除きわずかでも動ける範囲で活動させなければ、関節のまわりの筋肉が衰弱してしまいます。

 

(4)体内物質代謝による美容への効果がある

 

 

  季節や環境によって微妙に変化を起こすため、上手に順応させていかなければ、しこりやひずみを生み出すことになります。季節を問わず続けられる太極拳により、呼吸での新陳代謝、発汗作用、腰を軸とする隙間のない身のこなしにより、腹部にたまりやすい脂肪の排除等、老廃物が体外へすみやかに排出されます。体内の水分の吸収もよくなり、血液中のコレステロール含有量は最小一時間の鍛練後には、はっきり下降を示す検査結果も出ています。

 

(5)消化器系統の機能が改善される

 

 

  胃腸が健全であることが健康の第一歩です。横隔膜の運動による内臓への刺激により、消化器系統の機能が調整され下痢や便秘が改善されます。

 

 

参考文献:

  • 林茂美・林誠著.らくらく気功健康法―だれにでも手軽にできて効果抜群.永岡書店,1990
  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

 

 

王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長

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