サクセスフルエイジングのための12のススメ

9マインド(心)の健康法

近年、ストレス社会となり病気の中でも「心身症」とよばれる疾患やその予備軍、さらにはうつ病などが増えてきました。
心身症とは心の状態・あり方が原因となって血圧が高くなったり、血糖が上昇したり、消化管潰瘍が発症したりする病態のことです。ほとんどの生活習慣病は心身症であるとも言われています。病気が未だ発症していなくとも、イライラする、情緒が不安定、落ち込むといった症状がみられることも多くあります。従ってこれらの病気を予防する、または重症化を予防するためには、身体への働きかけだけではなく、心の健康を保つことが重要となってきます。

  • マインド(心)の健康法
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マインドとは

マインドとは精神(力)、知力、心(①意識や認知、理性、意思、感情などの脳の高位機能を司る器官または場所 ②現象との関連性を重視してすべての精神過程と精神活動を統合したものをいう)(ステッドマン医学大辞典)心とは「知・情・意によって代表される人間の精神作用の総体、もしくはその中心にあるもの」(世界大百科事典)とされています。ここではマインドを心と同義語として用いています。

感情の分子であるオピオイド受容体発見者のキャンディス・パート博士は、研究結果により、「自らを意識する事により、心は脳を使って感情をつくる化学物質(ホルモン、神経ペプチド、サイトカイン、増殖因子等)を生成し、身体全体に情報を伝達できる。大脳辺縁系の進化により、化学物資によるやりとりのシグナルは感覚へ変換され感情・情動として経験する。シグナルの流れは体内の全細胞が経験できる。この時、潜在意識が情動を適切にコントロールできなければ病気になってしまう。」として心と身体と病気の関係を解いています。

あなたの心は健やかですか?それとも感情・情動が不安定ですか?自己チェックしてみましょう。

マインドとは

マインドフルネス講師 植田真史先生のマインドの健康法

心の健康法には、病態や必要性に応じて多種多様な方法がありますが、ここではマインドフルネス講師植田真史先生にマインドの健康法につきまして説明いただきます。

マインドフルネスの立場から

医師・マインドフルネス講師

植田 真史

みなさんこんにちは!みゆきの里顧問・医師の植田真史と申します。普段は主にみゆきの里のHHLABで心の健康に関する情報発信を担当しております。この記事では私が専門としております「マインドフルネス」の立場から、マインド(心)の健康法についてお話しします。

マインドフルネスとは?

みなさんはマインドフルネスという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。マインドフルネスとは簡単にいうと瞑想を通じて培う能力のことです。ここでいう瞑想とは、元々は仏教をはじめとする東洋の伝統の中で、「困難があっても心おだやかに生きる」ことを目的として受け継がれてきた方法でした。

しかし1970年代以降、このような伝統的な瞑想が西洋の科学的視点から整理・研究されるようになりました。この流れの中で瞑想により培われる力が次第に「マインドフルネス」と呼ばれるようになり、近年その恩恵に世界から注目が集まっています。

ではマインドフルネスとは具体的にどのような力なのでしょうか。今回はマインドフルネスの基本的な側面である「注意力」に絞ってお話しします。

心の性質は「心ここにあらず」

みなさん、こんな経験はありませんか?

  • 物をどこに置いたか分からなくなる
  • 部屋を移動したが、何をしにきたのか分からなくなる
  • 鍵を閉めたか分からなくなる

これらの主な原因は私たちの心のさまよいがちな性質です。心はいとも簡単に私たちのいる場所を離れ、過去や未来に飛んでいってしまいます。

  • 今日の晩ご飯は何にしよう…
  • あんなことを言われるなんて腹が立つ…
  • 明日の仕事の準備をしなきゃ… など

実はアメリカで行われた研究によると、私たちの心が目の前で起きていることに集中できていない割合は平均で実に46%に上ると言われています。ほぼ半分の時間を「心ここにあらず」の状態で過ごしているということですね!(Killingsworthら 2010)平均的な人で46%ですので、さらに忙しかったり悩みが多かったりすると、起きている時間のほとんどを「過去や未来のこと」を考えて上の空で過ごすということになりかねません。

実は、この「心ここにあらず」の割合が高いほど、心の健康には悪影響を及ぼします。目の前のことに集中できないことで家事や仕事の効率が落ちたり、またトラブルにうまく対処できなくなったりすることで、さらに心に負荷がかかり、悪循環に陥るパターンがよく見られます。また、先に挙げた研究では、「心ここにあらず」であればあるほど、幸福感が低い傾向があるということも明らかになっています。

「注意力」を鍛える方法

それではこのような状態に陥らないようにするにはどうすればいいのでしょうか?そこで重要になるのが、反対に「注意を今ここに留める」力である「注意力」です。HHLABのこちらの記事では注意力を鍛える瞑想である「呼吸瞑想」の具体的な方法を案内していますので、ぜひチェックしてみてください!
https://media.miyukinosato.or.jp/mindfulness/511/

  • 「注意力」を鍛える方法
  • 「注意力」を鍛える方法

今回は注意力に関してご紹介しましたが、これはマインドフルネスの一側面に過ぎません。HHLABでは様々な種類の瞑想を通じてマインドフルネスを多面的に培い、「困難があっても心おだやかに生きる」方法について情報発信しています。
ぜひ他の記事もご覧になり、心の健康をセルフケアする方法に関して理解を深めてくださいね。

監修 吉田 紀子(医学博士)プロフィールを見る

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