HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医師監修

他人をマインドフルにできる?

 
 
 
Q. マインドフルネス瞑想を始めてから、だんだん心の落ち着きを感じることが増えてきました。以前ならついカッとしていたようなことも、受け流せることが増えたように思います。
相談は、職場にいる感情的な人についてです。その人は自分の方法にこだわりがあるらしく、誰かが違うやり方で進めようとするとすぐに大声を出したりムキになったりします。それを見るたびに私は「あの人もマインドフルネスをやればいいのに」と思いますが、このような人にマインドフルネスを勧めるにはどうすればいいのでしょうか?
 
A. 基本的には、本人に「困っていて何とかしたい」という思いがないと難しいでしょう。一方で可能性がないわけではありません。以下に詳しく説明しますね。
 
 
 

マインドフルネスを人に勧めることについて

 
 
ある程度マインドフルネスや瞑想の実践を行なって気持ちの安定が得られてくると、「周りの人にも紹介したい」という思いが出てきますよね。
 
もし感情面で困っていて何か方法を探している、という方がおられたら、マインドフルネスを紹介するのはとてもよいことでしょう。例えば一緒に少しだけ呼吸瞑想をやってみるとか、マインドフルネスの本を紹介してみるとか、その人がとっつきやすそうなところから紹介してみましょう。
 
実際にそのようにマインドフルネスに出会い、今では自分もマインドフルネスを教えている、という方はたくさんいらっしゃいます。
 
 

本人が困っていない場合

 
 
しかし問題は、周りからみるととても感情的なのに、本人がそう感じていなかったり、困っていなかったりする場合です。本人はニーズを感じていないので、仮に何らかの形でマインドフルネスを紹介したとしても、興味を示さなかったり、続かなかったりする場合がほとんどでしょう。
 
マインドフルネスが感情面の効果を発揮するには、しばらく実践を継続する必要があります。効果が得られるまで続けるには、本人が必要性を理解することが大切です。しかし困っていないのであれば、多くの場合で理解は期待できないでしょう。
 
 
 

ではどうすればよい?

 
 
 
では、感情的な人が身近にいる場合はどうすればよいのでしょうか?最も有効なのは、自分自身がマインドフルネスの実践を続けていくことです。自分自身がマインドフルになり感情の波が少なくなると、その影響は必ずといってよいほど周囲に好影響を及ぼします。
 
周囲の人が穏やかに過ごせるようになると、職場のその方の感情の起伏が減る可能性もあります。このように間接的ではありますが、マインドフルネスの影響を及ぼすことはできるでしょう。遠回りに思えますが、無理強いをするよりは有効です。
 
何より、他人を変化させようとするアプローチは思い通りにならない場合が多く、自分自身にストレスがかかるということを覚えておいてください。大切なのは自分基準でできることを考え、継続するということです。
 
 

まとめ

 
 
いかがだったでしょうか。今日は「他人をマインドフルにできる?」というテーマでお話ししました。HHLABでは他にもマインドフルネスや瞑想について解説した記事をたくさん執筆していますので、ぜひ今後もチェックしてくださいね。
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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