HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

植田 真史先生のマインドフルネスのススメ

書籍紹介②「マインドフルネスストレス低減法」

 
 
この記事シリーズでは、書籍「マインドフルネスストレス低減法」をご紹介しています。
「マインドフルネスストレス低減法」は同名のプログラムの創始者であるジョン・カバットジンの代表的著作であり、
マインドフルネスに興味のある方には一度は手に取っていただきたい本です。
 
前回の記事では、本書の概要と構成、そして第I部について説明しました。
今回の記事では、残る第II部と第III部についてまとめていきたいと思います!
 
 
 

第II部 瞑想によるストレス対処法

 

 

第II部では、代表的なストレスが数種類取り上げられ、瞑想の実践で得た智慧を日常的なストレスへの対処に活かすためのヒントが綴られています。
 
本書で取り上げられているのは
 
痛みによるストレス
時間ストレス
対人ストレス
仕事ストレス
 
です。
 
ここでは、本書で提案されている「仕事ストレスに対処する方法」16カ条のうちいくつかを引用します。
 
 
1. 目が覚めたときに、今日、仕事に行くのは “みずから選択したことである” と確認してください。確認できたら、今日するはずの仕事をざっとたどり、心の中に刻みつけてください。
 
(中略)
 
5. 仕事中も、ときどき自分の体の感覚に注意を向けてください。肩や顔、手、背中が緊張していないかどうか、今、自分の体がどんなふうに座っているか、あるいは立っているか、などを意識してください。
緊張していると感じたら、バランスのとれた姿勢に変えるなどして、意識的に緊張感を解放してください。
 
(中略)
 
9. 一時間に一回、一分間だけ仕事を離れて、呼吸に注意を集中してください。私たちは、普段、仕事中でもぼーっとしているときがたくさんあります。この “ミニ瞑想” を使って、いつも現在という瞬間に自分を引き戻してください。
 
(後略)
 
 
このような実用的なメッセージが随所に散りばめられています。「瞑想」というと山に籠もった修行僧のイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、瞑想は日常生活の中に活かすことにその真価があるというMBSRの基本的な考え方が、文章を通じて伝わってきます。
 
 

第III部 健康と癒しの新しいパラダイム

 
第III部では瞑想と健康との関わりがテーマとなります。「全体性」や「結びつき」といったキーワードを軸に、それらと「癒し」との関係が論じられます。また、思考のパターンが健康に及ぼす影響についても述べられています。
 
全体性と癒しについて述べている部分を引用します。
 
 
ここで使っている “癒し” という言葉は、 “治療する” という意味ではありません。
 
(中略)
 
慢性病やストレスから生じる障害に対する治療法はほとんどないのです。治療するということは、誰にもできないのです。できるのは、 “癒す” ということだけなのです。
 
(中略)
 
慢性病やストレスによる病気などをかかえていても、 “全体性” の体験は誰にでもできます。そして、 “全体性” を体験した瞬間、つまり、自分自身の存在を実感した瞬間に、あなたは病気や悩みなどというよりも、もっと大きな存在を感じとることができるはずです。
そして、病気や悩みを、もっとうまく受け入れられる状態になるのです。
 
筆者のカバットジンはノーベル賞受賞者の指導のもと分子生理学の博士号を取得するなど現代医学の最先端を研究する傍ら、長年瞑想にも取り組んできた方です。
そんな筆者ならではの視点で現代医学による「治療」の限界が指摘され、治療とは異なる「癒し」というアプローチの重要性が説かれます。
 
 
 
 

まとめ

 
本書は1990年に出版されたFull Catastrophe Living という本の初版の和訳であり、最初の出版から30年以上の時を経ていますが、社会情勢が急激に移ろう現代において、その魅力は衰えるどころかますます輝きを増しています。
電子書籍版は出ていませんが、もしこの要約をみてさらなる内容が気になったら、ぜひ本書を手にとって著者の言葉に直接触れてみてください。
また、英語では改訂版が出ており、こちらは電子書籍も利用可能ですので、英語に抵抗のない方はご検討ください。
 
この記事がマインドフルネスにさらに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
 
 
 
 
植田 真史

植田 真史(うえだ まさし)

みゆきの里顧問
医師・マインドフルネス講師

米国Brown大学認定マインドフルネスストレス低減法(MBSR)講師
Home of Mindfulness代表
現代マインドフルネスセンター副代表

眼科医だった頃にうつ病に悩まされたが、マインドフルネスとの出会いをきっかけに快復。
その際の経験から精神科医に転向し、渡米してマインドフルネスの講師資格を取得。
病院外にも目を向けてマインドフルネスの普及活動に取り組んでいる。

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