
夜、布団に入ってから昼間の出来事を何度も思い返してしまう。「あのとき、ああ言えばよかった」「明日うまくいかなかったらどうしよう」と、考えが次から次へと浮かんで止まらない。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
考えることは、問題を解決するために欠かせない心の働きです。ただ、同じ考えが頭の中で堂々巡りを始めると、答えは出ないまま心だけが疲れていきます。今回は、考えすぎて止まらないときに、マインドフルネスがどのように役立つのかを見ていきましょう。
考えを「止めよう」としなくてよい
考えすぎに気づいたとき、多くの人は「考えるのをやめよう」と努力します。しかし、心は「考えないように」と命じられるほど、かえってそのことを考えてしまうものです。
マインドフルネスでは、思考を無理に止めようとはしません。その代わりに、「今、自分は考えごとをしているな」と気づくことを大切にします。考えが浮かぶこと自体は、心の自然な働きです。それを悪いものとして押さえ込むのではなく、まず浮かんでいることに気づく。これが最初の一歩になります。
参考:「瞑想中の「雑念」への対処法 – 瞑想Q&A」
https://media.miyukinosato.or.jp/mindfulness/970/
考えの「内容」ではなく「考えていること」に気づく
堂々巡りが続いているとき、私たちは考えの内容にすっかり入り込んでいます。頭の中で相手と口論を続けたり、まだ起きていない出来事を何度も思い描いたりしているうちに、それが現実であるかのように感じられてきます。
マインドフルネスでは、少し視点を変えて、「私は今、〇〇について考えている」というふうに、考えていること自体を観察してみます。たとえば、「また明日のことを心配しているな」「頭の中で口論の続きをしているな」と気づく。それだけで、考えの中に飲み込まれていた状態から、少し距離が生まれます。
考えは、頭の中に浮かんでは消えていく出来事の一つであって、事実そのものではありません。そう見ることができると、同じ考えが浮かんでも、以前ほど振り回されなくなっていきます。
参考:「嫌な感情を手放すヒント」
https://media.miyukinosato.or.jp/mindfulness/4938/
身体の感覚に注意を戻す
考えていることに気づいたら、次に、今この瞬間の身体の感覚へ注意を戻してみましょう。呼吸が出入りする感覚、足の裏が床に触れている感覚、椅子に座っている重み。頭の中の考えとは違って、身体の感覚は必ず「今ここ」にあります。
しばらくすると、また考えに戻ってしまうかもしれません。それでかまいません。気づいたら、また身体の感覚に戻る。この繰り返しそのものが練習です。考えを消そうと頑張るよりも、注意を置く場所を少しずつ選び直していくほうが、結果として心は静かになっていきます。
夜に考えが止まらないときは、横になったまま身体の感覚を順に感じていくボディスキャン瞑想も役に立ちます。
参考:「不眠のためのボディスキャン瞑想」
https://media.miyukinosato.or.jp/mindfulness/3999/
まとめ
いかがだったでしょうか。考えすぎて止まらないとき、マインドフルネスは「考えるのをやめる方法」ではなく、「考えていることに気づき、少し距離をとる方法」を教えてくれます。
浮かんでくる考えを無理に押さえ込まず、「今、考えているな」と気づいて、身体の感覚に戻る。その小さな繰り返しが、堂々巡りから抜け出す出口になります。秋の夜長、考えごとで眠れないときに、ぜひ試してみてくださいね。
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