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東洋医学療法の紹介コラム㊱気功療法⑬調息

 

 

調息

 

心身の状態と密接に関係している「呼吸」を整える

調息とは、呼吸を調節して整えることを指します。

呼吸のリズムや回数、深さなどを意識して呼吸することで、リラックスできるものです。そうすると、気(き)や血(けつ)の巡りがよくなり、体のバランスや内臓の働きも自然に整っていくと考えられています。

調息の目的・作用は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

 

1 気持ちを穏やかにして、意識を集中させやすくする

2 体内の気がスム-ズに巡るように導いていく

3 体内の古く汚れた空気を吐き出し、自然界から新しく清々しい空気を取り入れる

 

呼吸が整うと自然に心肺機能や集中力が高まり、自律神経のバランスも整いやすくなります。心に緊張感や不安感がある人や、病気などにより不調を抱えている人の呼吸は浅くなりがちですが、リラックスしているときや健康な人の場合は、ゆったりと深い呼吸が行われています。

調息では、このゆったりとした深い呼吸を意識的に行います。

 

 

深く穏やかな呼吸で自律神経のバランスを調整

 

調息には、さまざまな方法がありますが代表的なものを以下に紹介します。

 

  • 普段無意識に行っている呼吸を少し意識して行う自然呼吸法
  • 息を吸う時に腹部を自然に膨らませ、吐く時にへこませる腹式呼吸法
  • その逆で吸う時に腹部をへこませ、吐く時に膨らませる逆腹式呼吸法
  • 胸を膨らませたりへこませたりして行う胸式呼吸法
  • 鼻から吸って口から吐く口鼻(こうび)式呼吸法
  • 呼吸を止める間を入れながら呼吸する間欠(かんけつ)呼吸法
  • かすかに下腹部を起伏させて行う潜(せん)呼吸法

 

腹式呼吸法は、ヨガなどでも取り入れられ、一般的によく知られており、比較的習得しやすいのではないかと思います。この呼吸法により、体内の気を集めたり、蓄えたりしやすくなります。特に睡眠前に行うと体がぽかぽかと温まり、心地よい眠りに導いてくれます。

また、口鼻式呼吸法も初心者がとり入れやすく効果的な呼吸法です。口から長く穏やかに息を吐くことで、自律神経系の副交感神経を優位に導き、気持ちをリラックスさせることができます。ゆっくり口から吐いたあと、鼻から自然に息を吸います。 

初心者の場合は、余分な緊張状態を作らないためにも、最初は自然呼吸法をベースにし、心身をリラックスさせることを心がけるとよいでしょう。  

 

参考文献:

  • 林茂美・林誠著.らくらく気功健康法―だれにでも手軽にできて効果抜群.永岡書店,1990
  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019

 

王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長

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