HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

王先生から知る 東洋医学の基礎知識

東洋医学療法の紹介コラム㉞気功療法⑪気功法の三要素:「三調節」

 

 

 

気功法の三要素:「三調節」

 

気功法を修練するにあたって、大切なポイントは気功法の「三調節」です。

三調節とは調身②調息③調心構成されます。

 

  • 調身

身体は正しい姿勢をとり、全身の余分な緊張を取り除きリラックスし、姿勢と動作と体感を調える。

  • 調息

腹式呼吸により、呼吸と声を整える。

  • 調心

心は雑念を取り払って、できるだけ無の状態に近づけ、精神と意識を整える。

 

これらの3つは気功の基本的な方法で三調と呼ばれ、これを行うことにより、心と体をよりリラックスさせることで、自然で安らかな状態に落ち着くことができます。

すなわち、

  • 気持ちがゆったりとなり、心を落ち着かせ
  • 呼吸を深くなだらかにし、身体の緊張をゆるめ、感覚を澄ませ
  • 自らの心身の声を聴き、自然の変化を全身で感じる

ことです。

 

また、この調身、調息、調心は三位一体となって、互いに補完し合う関係でもあり、例えば、心が雑念を払った無の状態になれば、体はリラックスし、体がリラックスすれば、心も静かで安らかな気分になります。

また、「心は息を離れず、息は心を離れず」という古い格言もあります。

すなわち、心が調整されれば呼吸も自然にできるようになるということです。

「慢・細・長・均」という、緩慢で、細く、均一な、よい呼吸ができれば、さらに心がリラックスし、安らかな感謝と慈愛に満ちた、落ち着いた状態になるということです。

 

気功法の訓練を行う場合は、まず呼吸の調整から入っていくことが多いのですが、人によっては体のリラックスから入ったり、また「意守丹田」(へその下に意識を持っていき、呼吸に注意力を集中することによって、心の雑念を払う方法)などの心の調整から入ったりすることもあります。

 

段階的に呼吸を増減させ、さまざまな姿勢や激しい動作を用いて行う方法もありますが、経験が不十分な人が一人で行うには難しいところもありますので注意が必要です。

 

また、気功法は三調によって、「調気(元気)を充実させ、体の気を整え、全身に気を運ぶ」ことができるため、「運気法」、「真気法」とも呼ばれています。 

 

 

参考文献:

  • 林茂美・林誠著.らくらく気功健康法―だれにでも手軽にできて効果抜群.永岡書店,1990
  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019
王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長

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