気功法の三要素:「三調節」
気功法を修練するにあたって、大切なポイントは気功法の「三調節」です。
三調節とは①調身②調息③調心で構成されます。
- 調身
身体は正しい姿勢をとり、全身の余分な緊張を取り除きリラックスし、姿勢と動作と体感を調える。
- 調息
腹式呼吸により、呼吸と声を整える。
- 調心
心は雑念を取り払って、できるだけ無の状態に近づけ、精神と意識を整える。
これらの3つは気功の基本的な方法で三調と呼ばれ、これを行うことにより、心と体をよりリラックスさせることで、自然で安らかな状態に落ち着くことができます。
すなわち、
- 気持ちがゆったりとなり、心を落ち着かせ
- 呼吸を深くなだらかにし、身体の緊張をゆるめ、感覚を澄ませ
- 自らの心身の声を聴き、自然の変化を全身で感じる
ことです。
また、この調身、調息、調心は三位一体となって、互いに補完し合う関係でもあり、例えば、心が雑念を払った無の状態になれば、体はリラックスし、体がリラックスすれば、心も静かで安らかな気分になります。
また、「心は息を離れず、息は心を離れず」という古い格言もあります。
すなわち、心が調整されれば呼吸も自然にできるようになるということです。
「慢・細・長・均」という、緩慢で、細く、均一な、よい呼吸ができれば、さらに心がリラックスし、安らかな感謝と慈愛に満ちた、落ち着いた状態になるということです。
気功法の訓練を行う場合は、まず呼吸の調整から入っていくことが多いのですが、人によっては体のリラックスから入ったり、また「意守丹田」(へその下に意識を持っていき、呼吸に注意力を集中することによって、心の雑念を払う方法)などの心の調整から入ったりすることもあります。
段階的に呼吸を増減させ、さまざまな姿勢や激しい動作を用いて行う方法もありますが、経験が不十分な人が一人で行うには難しいところもありますので注意が必要です。
また、気功法は三調によって、「調気(元気)を充実させ、体の気を整え、全身に気を運ぶ」ことができるため、「運気法」、「真気法」とも呼ばれています。
参考文献:
- 林茂美・林誠著.らくらく気功健康法―だれにでも手軽にできて効果抜群.永岡書店,1990
- 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
- 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
- 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
- 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019