気功修練の段階と意味
気功法の訓練(修練)を行うと開始したその日から、「食事がおいしくなり、よく眠れるようになった」という人も少なくありません。
一般的に三か月行えば一定の効果が得られ、「気力・精力・精神力」が増してくるものです。
気功も深奥を極めようとすれば、一朝一夕で成し遂げられるものではありませんが、生涯にわたり修練を続ける決意で地道にこつこつと修業していくのが望ましいのです。
一生続けることで、人間の「生老病死」の“四苦”を「生きる喜び、老いる喜び、病うる喜び、死の喜び」の“四楽”に変えることができます。
生きることも死ぬことも、健康も不健康も、若さも老いも、実は一つのものの両面にすぎないのです。
気功法の訓練によって心の持ち方が変われば、必ずその両面を見ることができるようになります。
例えば、人間はこの世に修業に来たのであり、死とは、その“卒業証書”をもらって、別の世界への“旅立ち”をするのであると考えれば、うれしくなってくるのではないでしょうか。逆に、もし永遠に赤ちゃんのままでいるとしたらどうでしょう。
良寛の言葉に、「病(やまい)うるときは病うるがよろしく候。これ病をまぬがれる妙法にて候」というのがあります。確かに老眼、近眼、痔、水虫など、小さな病気は誰もが持っています。「一病息災」という言葉もありますが、良寛の言葉は、これらの小さな病気を受け入れることによって、大きな病気をまぬがれることができるということでしょう。
また、中国のことわざに、「苦を楽となす」というものがありますが、病気もまた見方によっては、健康に対する意識を高めることができるなどの点で、益の多いものです。これは、四苦を四楽に変えることにほかなりません。
現代の“ストレス社会”に生きる私たちにとって、気功法の修練を続けることの意味は、ここにあるのです。気功によって、ストレスをストレスと思わぬ幸せな境地が得られ、明るく強く生きることができるのです。
気功法を修練する際に実践していただきたいことに「三心」を持つことがあります。
三心とは、 ①決心して実行する ②自信を持って行う ③長く続ける
すなわち「決心、信心、恒心」の三つの心です。
これを気功法の三心といいます。
この三心を持ちながら、気功法を一生の友として、長く続けていただくことを望みます。
参考文献:
- 林茂美・林誠著.らくらく気功健康法―だれにでも手軽にできて効果抜群.永岡書店,1990
- 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
- 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
- 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
- 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019