気功法の効能
気功法は大脳を休ませ、全身をリラックスさせます。自然な腹式呼吸をくり返していると、大脳の新皮質の働きが弱まり(=休息)、たくましく生きるための脳、すなわち古皮質の働きが活発になります。
その結果、内臓の機能が調整され、血液循環やホルモンの分泌が促進されて、生命エネルギー(=気)が体に充満してくるのです。
言い換えれば、邪気(悪い気)を払い、正気(良い気)を充満させ、気血(気と血液)が全身くまなくめぐるようになるということです。
中国では、神(精神力)、気(気力)、精(精力)の増強に役立つといわれています。
気功法は、第一に
病気の予防や病気の治療に効果があります。そして、早老防止、すなわち年齢よりも早く老化するのを防ぐのに役立ち、長寿をもたらすのです。
具体的に気功を行うとまず、体内を流れる気が調整され、経絡を通じて体のすみずみまで気が十分に巡らされていきます。気の量が充実してスムーズに流れれば、それに導かれて流れる血や津液もよく巡って五臓六腑に行きわたり、それぞれの働きもよくなって生命活動がアップします。
次に、気血の流れが改善されることで免疫力が高まり、心身の不調が改善され、病気の予防につながります。
さらに、気功を続けることで、常に体内に気が蓄積されるようになり、生命力である正気を助け、病気をもたらす邪気がとり除かれるようになります。すると、病気になりにくい体になっていくのです。
第二に、精神力はもちろん、記憶力、思考力を向上させます。“感(かん)”がよく働くようになり、仕事の能率を上げるのです。
第三に、気功法を続けると、落ち着きのある性格になり、くよくよしなくなります。人生に幸せを感じ、物事に自信が持てるようになるのです。
第四に、心身の潜在能力(超能力)を発揮させるのにも役立ちます。
気功法は生命活動に必要なエネルギー“元気”を修練(トレ ーニング)することで、生命のエネルギーである気を全身に巡らせて、気の働きを高めて、流れをスムーズに整え、免疫力や治癒力などを高めることで病気や体のトラプルを改善し、さらに人間が持つ生命力を最大限に引き出すことを目的としています。現在では気功は、精神的な疾患や、痛み、慢性疾患といった体の諸症状など、さまざまな現代病の治療にもとり入れられています。
気功はだれにでも、どこででもできる方法ですが、1人ひとり異なった気の状態に応じて、過剩な人は排出し、不足している人は補い、上昇傾向がある人は下降させるなど、気功の方法を使い分けることが必要です。そのため自己流ではなく、信頼できる気功師の指導を受けることが望ましいです。
参考文献:
- 林茂美・林誠著.らくらく気功健康法―だれにでも手軽にできて効果抜群.永岡書店,1990
- 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
- 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
- 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
- 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019