HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

王先生から知る 東洋医学の基礎知識

東洋医学療法の紹介コラム㉗気功療法④気功法とは

気功法とは?

 

 

 

気功の「気」とは宇宙が始まって以来の万物の源です。すなわち、生命の源でもあり流動している微粒子などで構成される最も微小な物質でもあります。空気や電波が私たちの目に映らないのと同じように、「気」も目で見ることはできません。気は働きのある「天・地・人」を満たすエネルギーのことです。生命のエネルギー、宇宙のエネルギー、また、精神のエネルギーでもあるのです。気は生命体に存在する最も大切な物質であり、全身の経絡を通って、絶え間なく全身を流動しています。

 

 

 

気功の「功」は、重ねて訓練し、修得した技能のことで、中国語では「功夫」といいます。

「功夫」は短い時間で修得できるものではなく、根気強く積み重ねていく努力が必要となります。

 

「気功法」は姿勢の調節、呼吸、意識の集中などの鍛錬を行い、呼吸と体の動きを組み合わせて身体の機能を調節・増強する中国古来の健康法であり、治療法です。

しかし、今日では科学的に研究・整理され、理想的かつ安全な健康法として改めて高く、広く評価されるようになってきました。

現代人にとっては、健康と幸せを勝ち取るための“セルフコントロール法”であり、最適な健康法と言えます。

なお、「気功法」は中国では古くから用いられてきた人体の機能を高めるための“仙人術”でもありました。

今日の現代科学においても未だ生命の謎が解明されたと言い切れませんが、気功はこの謎を解くための入口になる可能性があると考えています。

 

気功法は人体の諸機能を調整し、疾病の予防・治療にも効果があると世界的に注目されていますが、実は明確な定義はありません。気功という言葉自体は「黄帝内経」など古い文献にも治療手段として紹介されていますが、現代の意義とは異なり、清朝末期頃から多用されるようになったものです。

1950年代に国家的に伝統的な気功法を取りまとめ、中国独自の療法として新たに体系化されました。その後、中国においては全国各地に入院施設を備えた気功療養院や、病院の気功科が設置されています。

気功は医療の一分野として、運動器や内臓器官などの疾患の治療に用いられています。

上級者の中には、外気を用いて気功治療を行う者もいますが、自分自身と患者の気血の流れを把握したうえで、アプローチする必要があるなど、熟練者といえども非常に難しく、優れた知識と技能が求められます。

 

 

人の気の強さ

 

  人の「気」は以下の五つの条件で強弱が左右されるといわれています。

①先天性(親から受け継いだもの)

②気功法の訓練(調心・調息・調身の三調節)

③環境、天候、温度、空気(天の気)

④精神、意識の持ち方(ホルモン分泌との関連性)

⑤食べ物(地の気)

 気功法は人の「気」を強くする重要な方法です。 皆さん、気功法の練習をしてみませんか?

 

 

 

参考文献:

  • 林茂美・林誠著.らくらく気功健康法―だれにでも手軽にできて効果抜群.永岡書店,1990
  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019
王 暁東

王 暁東(おう きょうとう)

現職:御幸病院 漢方研究室 主任研究員

経歴

【経歴】
5代続く中医学医師の家庭に生まれ、幼少の頃より家族から中医学の基礎を教わる。
1993年 河北医科大学中医学院中医学部大卒
総合病院中医科中医師(中医総合科)として勤務                       
1997年 熊本大学医学部第二生理学科に入局、脳・免疫科学の知覚生理学を専攻
2002年 熊本大学大学院医学研究科修士博士連合課程卒 
医学博士取得(西洋医学)
2016年 南京中医薬大学中医学院に入学、中医学臨床基礎・経方(漢方)医学を専攻
2019年 南京中医薬大学博士課程卒
医学博士取得(中医学) 
2004年~ 中国南京中医薬大学 客員教授
2014年~ アメリカ自然医学研究院 研究員
2020年~ 中国河北中医薬大学 客員教授
1999年~ 御幸病院および複数の医療機関に中医師・研究員・講師として勤務

【資格】

・医師(中国国家資格・中医師)
・医学博士(中国・中医学)
・医学博士(日本・西洋医学)
・自然医学療法医師(アメリカ自然医学学会)

【学会役職】

・世界中医薬学会聯合会 経方専業委員会 副会長
・世界中医薬学会聯合会 治未病専門委員会 常務理事
・日本中医協会 副会長

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