HOLISTIC HEALTH JOURNAL

ホリスティックヘルス ジャーナル

医療

東洋医学療法の紹介コラム㉔気功療法①

 

 

「気」とは何か?

 

「気」とは何かを一言で説明するのは、非常に難しいところがあります。

気という言葉は中国の長い歴史や文化の中で様々な意味を含んでおり、「呼吸やエネルギー」といったものから、「個人の人格や感情」、「神仙や自然界の持つ力」など多様性に富んでいます。

  中国哲学の概念では「気」は「宇宙が始まって以来の万物の源」で「生命の源」であり、「最も微小な物質」でもあります。

気は目には見えませんが様々な働きをもつ「天・地・人」を満たすエネルギーで「生命・宇宙・精神」のエネルギーであると捉えています。

 

 

「気」に関する東洋医学の基本認識

 

気は宇宙や人体を構成する基本的な要素であり、すべての事物や事象の根源的な要素

東洋医学における人体の把握は,古代中国人の自然観に基づいたものです。

彼らは「人間は宇宙の一部であり、自然界と無関係に存在することはできない。同時に人体の各部は有機的に繋がっており、一部のみを取り出してその機能を論じることはできず、身体のどの部分も精神も常に全体との関連を持って存在している。」と考えていました。

つまり、東洋医学はコスモロジー(宇宙論)の上に構築され、体系付けられた医学であるということができます。

 人間が宇宙の一部である以上、人体の諸現象も宇宙の法則によって説明することができるのです。東洋医学における人体の認識・疾病の把握・治療などはすべてこの法則に則り行われます。

 気の概念は広範であり、宇宙や人体を構成する基本的な要素として、また、すべての事物や事象の根源的な要素として認識されています。

『荘子』北遊篇に「人の生は気の聚(あつま)りなり、聚れば生となり、散れば死となる」と述べられているように人体において気は生命の根源です。

 気はもともと一元のものではありますが、その働きにより様々な種類に区別され、人体内では一定の法則に基づき、生成・循環・代謝され、諸器官を機能的に発揮させているのです。

 

気を中心にした人体の構成要素とその働き

東洋医学が認識する人体は西洋医学のそれとはかなり異なっています。あまねく宇宙に存在し、人体内にもあって生命活動を行う根源となっているのは「気」です。

生体内にあっては気のほかにいくつかの人体が生命活動を行うために必要な基本精微物質「血・津液・火(陽気)・精」が存在しており、それぞれ生体内で生成され、循環、代謝され、その過程でさまざまな生理機能を発揮し、互いに影響し合いながら生命活動を維持しています。

また、人体内には臓腑・組織・器官があり、上記の基本精微物質の存在下に、それぞれの生理機能を発揮しています。

さらに体表や体内には「経絡」が走行しており、人体の各部を結び付け、統一体として機能させています。

 

 

 

参考文献:

  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019
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