「最近ストレスが多くて…」
「たまにはストレス発散しないとね…」
私たちは普段何気なく「ストレス」という言葉を使っていますが、その正体はあまり知られていません。
ストレスを知り上手に付き合うことができないと、いつの間にか健康をむしばまれることも…
今回からの記事ではそんなストレスについて整理し、マインドフルネスがストレスへの対処に果たす役割について説明していきます。
第1回の今日は、ストレスに関する用語を整理します。
ストレスとストレッサー
日常生活では様々な場面で「ストレス」という言葉が使われますが、実は様々な意味の「ストレス」が混在しています。そこでまずは用語の整理をしたいと思います。
ストレスとはもともと物理学で使われていた用語で、物体にかけられた圧力を物体が受けとめた状態のことを言います。
例えば、風船を指で押さえると風船がその圧力を受けとめて歪みますね。このように風船が圧力を受けとめた状態をストレスと言います。
一方、ストレスを引き起こした圧力のことをストレッサーと言います。
このように本来は物理学の用語だったのですが、次第にこれらの言葉が医学や心理学に応用されるようになりました。
つまり、身体や心に刺激を引き起こすものをストレッサーと呼び、
ストレッサーによる刺激を身体や心が受けとめた状態のことをストレスと呼ぶようになったのです。
実は、私たちが普段使っている「ストレス」という言葉の中には、本来ストレッサーと呼ぶべきものが混ざっています。
例えば「怒鳴られるのがストレスだ」と言う文章は、正確に言うと「怒鳴られる状況というストレッサーによって、心にストレスが生じる」ということになります。日常でこのような言い回しをすると不自然ですが(笑)
ストレッサー・ストレスの分類
ストレッサー・ストレスには様々な分類の仕方が存在しますが、ここでは話を分かりやすくするために身体的・心理的という分類をしたいと思います。
【ストレッサーの分類】
●身体的ストレッサー:身体への刺激を引き起こすもの
例) 圧力・気温・湿気・音・光(電磁波)・化学物質など
●心理的ストレッサー:心への刺激を引き起こすもの(出来事)
例) 人間関係・家庭・仕事の問題やトラブルなど
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【ストレスの分類】
●身体的ストレス:身体的ストレッサーによる刺激を身体が受けとめた状態
「身体が受けとめた状態」というと分かりにくいですが、さらに①感覚と②変形に分類すると分かりやすいかもしれません。
①刺激を受けとめて生じた感覚
例) 痛みの感覚・温度の感覚・湿気の感覚・音の感覚・光の感覚・においの感覚・味の感覚など
②刺激を受けとめて生じた変形
例) 打撲による骨折、刃物が当たったことによる切り傷、熱による火傷など
●心理的ストレス:心理的ストレッサーによる刺激を心が受けとめた状態
例) 財布を盗まれたことに気づいた状態
どういうことかと言いますと、財布を盗まれたことは、ストレッサーになり得ますが、それに気づかなければストレスは生じませんよね。 自分を脅かす事態や問題に気づいて初めて、心理的ストレスが生じるのです。
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ストレス反応
ここで、もう一つの大切な用語をご紹介します。それは「ストレス反応」です。
ストレス反応とは、ストレスに続いて身体または心が起こす反応のことを言います。
ストレス反応も同様に、身体的ストレス反応と、心理的ストレス反応に分類することができます。
【ストレス反応の分類】
●身体的ストレス反応:ストレスに続いて身体が起こす反応
例) 熱いものに触れ、反射的に手を引く
財布を盗られたことに気づき、心臓の鼓動が速くなる
●心理的ストレス反応:ストレスに続いて心が起こす反応
例) 熱いものに触れ、びっくりする
財布を盗られたことに気づき、不安な気持ちになる
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実は、上の例でわかるように、身体的ストレス反応は、身体的ストレス・心理的ストレスのいずれでも引き起こされます。
また心理的ストレス反応も同様に、身体的ストレス・心理的ストレスのいずれでも引き起こされます。身体と心はつながっているのですね!
ここで1つ疑問が浮かびます。
身体的ストレス→身体的ストレス反応
心理的ストレス→心理的ストレス反応
は分かりやすいのですが、
身体的ストレス→心理的ストレス反応
心理的ストレス→身体的ストレス反応
はどのように引き起こされているのでしょうか?
次回はその仕組みから説明したいと思います。
まとめ
今回はストレスに関する用語を整理しました。
似た言葉が多く混乱しやすい部分ですが、ストレスに関する理解を深める上で重要な内容ですので、分かりにくい部分はぜひ何度か読み返してみてくださいね!