Q. 瞑想をしていてもすぐに考え事をしてしまい、うまくいきません。無心になって集中するためのコツのようなものがあれば教えてください。
A. 瞑想においては、無心になる必要はありません。実はずっと集中ができている必要もないのです。
今日はこのことについて詳しく説明してみますね。
瞑想のイメージ
みなさんは瞑想についてどんなイメージをお持ちでしょうか?
静かに座って瞑想をしている人を見ていると、「きっと無心になって集中しているんだろうな…」といったイメージが湧いてくるかもしれません。
しかしこれはあくまで多くの人が瞑想に対して抱くイメージに過ぎず、実際のところはそこまで高度に集中しているということもないのです。
実は瞑想に長年取り組んでいる人でも、瞑想中に心が乱れたり、日常の考え事をしたりすることはよくあることなのです。
それならどうすればいいの?
なんだか肩透かしをくらったように感じるかもしれませんが、それではどのようにすればいいのでしょうか?
まずは「瞑想は無心になって集中するものである」というイメージを一旦わきに置いて、瞑想で実際にどんなことを行なっているのかを見てみましょう。
ここでは簡単のために集中瞑想という種類の瞑想について説明します。集中瞑想では、注意を向ける対象を1つ決めます。この対象を「アンカー」と呼びます。アンカーとしてよく使われるのは「呼吸の感覚」です。他にも「音の感覚」「身体が接している場所の感覚」などもアンカーとして選ぶことができます。
しばらくの間アンカーに注意をとどめようとすると、いつの間にか注意は別のところにそれてしまいます。いつの間にか考え事をしてしまいますよね。それは心の自然な性質ですので、瞑想においてはその性質を無理に変えようとしたりすることはありません。ただ、気付いた段階でアンカーに注意を戻せばよいのです。
このようにそれたら戻る、それたら戻る、ということを繰り返していくのが集中瞑想なのです。
瞑想の恩恵
それではこのような瞑想を続けていくと、どのような恩恵が得られるのでしょうか。集中瞑想では、それた注意を戻す練習をするため、結果的に思いや考えに捉われそうになったときにすぐに戻ってくる能力が高まっていきます。
瞑想に熟達している人は、常に無心になっているというわけではなく、考え事が浮かんできた時にそれに捉われずに戻ってくる能力が高まっていると考えると分かりやすいと思います。
ここで心を湖の水面に例えてみましょう。
思いがけない出来事が起きたり、つらい思いが浮かんだりしたときは、心の水面が波立つものですが、瞑想を続けていると次第にこの波が収まるのが速くなっていくのです。
ここでのポイントは、全く波立たなくなるというわけではないという点です。瞑想の継続により次第にこのような性質が備わっていきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。「集中しなければならない」という思いを一旦傍において瞑想を淡々と継続することが、結果的に心の穏やかさにつながっていくということをご理解頂ければと思います。