朝晩の寒暖差がでて本格的に冬の準備となってきました。
感染症が気になる時期ですが、皆様のまわりは大丈夫でしょうか?
新型コロナワクチンの全額公費による接種は2024年3月末に終了し、10月1日~65歳以上の方、及び60~64歳で対象になる方(※)レプリコンワクチンが自治体の定期接種が行われています。対象者以外で希望の方には任意接種で自費(接種料金は15,000~20,000円程度)で行われています
※60~65歳未満で心臓・腎臓・呼吸器の機能またヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障がいを有する方(身体障害者手帳1級相当)
ワクチンを打っても必ずしも罹患しないということはないので、基本は手洗い、含嗽、マスク装着での予防と、自己免疫力を高めておく事が重要となります。
今回は今までお問い合わせも多かった、コロナ後遺症の嗅覚障害のトレーニングについて
まとめています。コロナ感染症については過去の記事をご覧ください。
「新型コロナウイルス感染症」と「アロマテラピー」① ~新型コロナウイルス感染症概論~
「新型コロナウイルス感染症」と「アロマテラピー」② ~新型コロナウイルス感染症概論~
コロナウイルスの嗅粘膜への影響
・嗅上皮や嗅球にACE2受容体が存在している
・新型コロナウイルスのスパイク蛋白が嗅上皮上のACE2に結合する
・ウイルス侵入を補助するTEMPRESS2の働きで結合が活性化される
嗅覚障害の部位別分類
気導性嗅覚障害
原因:鼻腔内の構造的な問題や炎症により匂い分子が嗅覚受容体まで到達しにくい状態
例:鼻炎、鼻中隔湾曲、鼻ポリープ
症状:嗅覚低下、鼻づまり
末梢性嗅覚障害
原因:嗅神経そのもの、または嗅神経と脳を繋ぐ部分に問題がある状態
例:ウイルス感染(コロナウイルスなど)
頭部外傷 嗅神経が損傷する
薬剤性 特定の薬剤の副作用
症状:嗅覚の低下、消失、変調
中枢性嗅覚障害
例:脳腫瘍 嗅球や嗅神経を圧迫する
頭部外傷、脳血管障害など
症状:嗅覚、味覚、記憶障害を伴うことがある
新型コロナ感染症における嗅覚障害の特徴としては2の嗅神経に影響し、嗅覚の低下や異嗅症(本来とは異なるにおいに感じる)、自己臭症(常に自分が臭いと感じる)などを引き起こすことが多くみられる。
嗅覚検査では軽度~中等度で自然治癒が多いが、嗅覚障害を自覚してから来院するまでの期間としては7日以内が半数近く、3カ月以上経過してから来院するケースも20%ほどは
おられるためストレスを抱える方も多いようである。
嗅覚を測定する精密検査
基準嗅力検査という。
障害程度は平均認知域値(嗅力)を用いる
正常 -2~1.0
軽度障害 1.1~2.5
中度障害 2.6~4.0
高度障害 4.1~5.5
脱失 5.6以上 となる
※嗅力検査は全ての耳鼻科では行われていないため、事前に地域の耳鼻科へお問い合わせください
自宅で待機中に嗅覚に異常を感じた場合
茶葉やコーヒー、柑橘などの自宅にある身近なもので嗅覚をチェックしてみて
・わかる
・わからない、又は何か匂いがする、その他の匂いに感じる
↓
自宅待機中に5日間嗅覚トレーニングを施行する
それでも嗅覚が悪いなら受診し基準嗅力検査、治療を
新型コロナによる嗅覚障害の治療法
・嗅覚トレーニング
・上咽頭擦過療法
・ステロイド点鼻療法
・当帰芍薬散
嗅覚トレーニングとは
・いろいろな匂いを反復して嗅ぐ手法
嗅覚刺激療法、嗅覚リハビリテーションともいう
嗅覚トレーニングの方法
精油の種類:
ローズ精油
レモン精油
ユーカリ精油
クローブ精油
方法:4種類の精油を1日2回、朝夕それぞれ10秒間嗅ぎ、これを4カ月間続ける
(ドイツ;Dreden大学)
コロナに対応できる精油はあるのか?
ゼラニウム精油
レモン精油
コロナスパイク蛋白とACE2との結合を阻害する
主成分のシトロネラ―ルやリモネンはACE2の発現を抑制する
KumarK.J.S;Plans,9(6),770(2020)
という論文もでている
嗅覚トレーニング実践の実際
上記の精油では、ローズ精油は高価であるためにコスト面と上記論文から
ゼラニウム・エジプト精油で代用
ユーカリは酸化物類の1.8シネオールを70%程含むユーカリ・ラディアタ精油であると
喉鼻の炎症や免疫の調整にも効果的である。よって
ゼラニウム・エジプト精油
レモン精油
ユーカリ・ラディアタ精油
クローブ精油
(※各精油をテノモスカート)又は、下記のゼラニウム精油とアロマグミをテノモスとリンク
が現実的な嗅覚トレーニングレシピではないかと考える
方法:4種類の精油を1日2回、朝夕それぞれ10秒間嗅ぎ、これを4カ月間続ける
おわりに
上記の論文を元に、私の周りでも嗅覚味覚障害ではゼラニウム精油が役に立ったケースや、アロマフォースグミで味覚障害が早期に改善されたと医師から報告を受けたケースもありました。
匂いは異常の察知の感覚器でもあるということを考えると、長引く嗅覚異常はストレスになってしまいます。今回は日本アロマセラピー学会医師、鹿児島江川耳鼻咽喉科の江川 雅彦院長に専門的にお話をおうかがいし、データ等共有いただきましたので皆様の参考になれば幸いです