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東洋医学療法の紹介コラム㉓刮痧(グアシャ)療法

 

2500年前から中国で行われてきた民間療法に「刮痧(グアシャ)療法」というものがあり、今日では東洋医学の治療法の1つとなっています。

 

 

概 念

 

刮痧”は中国語で「グアシャ」と言います。日本では「グワシャ」の他に「クワシャ」「カッサ」などと言われています。

「刮」には擦る、削る、えぐるなどという意味があります。

「痧」は動けなくなって滞っている血液や老廃物のことを指します。

刮痧療法はその漢字の意味通り、皮膚の経絡や反射区を水牛の角、玉のヘラあるいは専用のプレートで刺激することにより、皮下を充血させ、毛細血管を拡大し、毛細血管に圧を加えて血液の毒を肌表面に押し出し、経絡の流れを促進し、体内の滞っている【邪気】(濁っている「気」)を排出して、様々な症状を改善する療法のことを言います。

いわば、東洋医学的なデトックスであるともいえます。

中国伝統医術の1つであり、簡単で安全かつ即効が顕著という特徴を持っています。

なお、民間療法としても数千年前から広く使われてきており、今日まで伝え継がれてきた治療法でもあります。

現代の中医界でも疾病の予防、健康維持、美容、整体などに幅広く利用されている療法です。

 

施術方法と道具

 

刮痧したい部分に、刮痧特有のオイルを使用し、天然素材(水牛の角、ヒスイ)を用いたヘラ状の道具を使って、経絡の流れに沿ってやさしく擦り流します。

各種の刮痧用オイルがありますが、どのオイルも血行促進・代謝促進・毒素排出の作用がある漢方本草から抽出された精油がブレンドされており、肩こり、腰痛、頭痛、背中の張り、むくみ、冷え、肌のツヤなどの改善効果が期待できます。 

 

“痧(しゃ)”とは何か?

 

中医学においては人間の体には、気・血・水が流れており、全身に栄養を与え余分なものや毒素を排泄する新陳代謝を行っており、生命活動の3大要素と言われています。体の弱っている臓腑の反射区部位や気が滞っている部分は血が滞り 「瘀(お)血(けつ)」となって停滞しています。

刮痧の施術により滞っている部分が活性化されることで気血を巡らせ老廃物が排出されます。体の内部から老廃物を引き上げる際に「痧(しゃ)」と呼ばれる皮下出血のような赤点が皮膚表面に現れます。

個人の体調や症状により“痧”が現れる量と色は異なりますが、「瘀血」のない部位に“痧”は現れません。

施術中に痛みはほとんど感じられず、施術部位が温かくなり、スッキリとした心地よさが得られます。

 

フェイス刮痧

一度に効果を実感できる美容法として、顔の筋肉のコリを丁寧にほぐす「フェイス刮痧」があります。

この療法により、自分自身の本来の立体感を取り戻し、小顔・リフトアップへと導くことも期待できます。

 

ボディ刮痧

中国では古来から身体の不調に幅広く使われてきました。

このため、刮痧は各種のコリや痛みなど身体の外側の症状のみならず、冷え性、むくみ、便秘、風邪、胃腸の不調など身体の内側の症状にも効果が期待できる療法といえます。

 

参考文献:

  • 関口善太著.〈イラスト図解〉東洋医学のしくみ.日本実業出版社,2003
  • 安井廣迪著.医学生のための漢方医学【基礎編】.東洋学術出版社,2008
  • 平馬直樹・浅川要・辰巳洋著.オールカラー版 基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書.株式会社ナツメ社,2014
  • 仙頭正四郎著.最新 カラー図解 東洋医学 基本としくみ.株式会社西東社,2019
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